【地下鉄8号線(有楽町線)延伸】豊住線「新駅」はどこになる!?

過去の経緯

本日は、8号線延伸の豊住線について、新駅を中心に話をしていきたいと思います。豊住線は、有楽町線の豊洲駅の「豊」と半蔵門線の住吉駅の「住」の組み合わせたものです。豊住線は、「有楽町支線」又は「東京8号支線」と呼ばれることもあります。

【まとめ】1分でわかる年表

  • 1972年(S47年)3月:国の審議会で、8号線の亀有(葛飾区)への分岐が初めて答申される。
  • 1986年(S61年)12月:8・11号線促進連絡協議会(葛飾区、墨田区、江東区、松戸市)が発足。
  • 2000年(H12年)1月:国の審議会で、豊洲~野田市間が平成27年までに整備着手することが適当な路線と答申される。
  • 2004年(H16年)4月:帝都高速度交通営団が民営化。東京地下鉄株式会社が設立します。副都心線を最後に新線整備を行わない方針となります。
  • 2016年(H22年):江東区地下鉄8号線建設基金の積み立てを開始。基金残高:90億円(令和3年度末見込み)
  • 2017年(H29年)3月:江東区が地下鉄8号線(豊洲~住吉間)の整備計画調査報告書を作成
  • 2018年(H30年)6月:東京都が「平成30年度中をめどに、地下鉄8号線延伸のための事業スキームの構築に向けて取り組んでいく」方針を示す
  • 2019年(H31年)3月:東京都が「地下鉄8号線の延伸は、東京メトロによる整備、運行が合理的」との考えを示す。
  • 2021年(R3年)7月国の審議会で、地下鉄8号線の延伸が早期の事業化を図るべき路線と答申されます。

【2004年4月】営団民営化で新駅整備は行わない方針!

帝都高速度交通営団(営団地下鉄)は、東京23区の地下鉄を経営するために、1941年から2004年まで存在していた国と東京都が出資する鉄道事業者です。

8号線延伸は、1982年に帝都高速度交通営団から免許申請がされていました。つまり進む話しになっていたということです。しかし、2004年4月営団地下鉄が民営化されることになり話は一転します。営団地下鉄は、副都心線を最後に新線建設を行わない方針をうちだしました。そのため、8号線延伸は整備主体が不在の状態になったということです。

【2021年7月転機】なぜ動いたのか!?

8号線延伸の転機は、2011年の東日本大震災がきっかけです。国は東日本大震災の復興財源を確保する必要がありました。財源確保の方法の一つが国が保有している日本たばこ産業と東京メトロの株式を売却して財源を確保するということです。

東京メトロの株主は国(53.4%)と東京都(46.6%)です。国は東日本大震災の復興財源に当てたいため売りたい東京都は東京メトロへの影響力を保ちたいことから売却したくない。さらに東京都は新線など東京都が求めている事業を東京メトロに進めてもらいたいという考えがあります。

2021年7月国交省が間に入り、話は動き始めます。8号線は「早期事業化を図るべき」と答申し、国と東京都が東京メトロの建設費補助で合意します。具体的な内容としては、以下の通りです。

  • 国と東京都が、東京メトロの株式を同時に同率で売却する。
  • ただし、8号線構想の整備中は国と東京都は東京メトロの株の過半数を保有する。
  • 8号線の事業主体は東京メトロが担うべきである。
  • 東京メトロに公的支援を実施し、新路線建設をしない方針を撤回する。

【2022年5月】新駅予想のエリアを歩いてみた

こうとう区報(整備計画概要)より

新駅候補地は、「豊洲~東陽町間のST1」、「東陽町~住吉間のST2」の2か所です。

ST1(豊洲~東陽町間)

新駅候補ST1駅の位置は枝川2丁目付近であると思われます。現地付近を歩いて見てもまだ何もわかりません。また、下記の「東京8号線(豊洲~住吉間)整備計画調査報告書」にはST1駅は出入口を3か所を想定しているようです。もちろん今現場付近を歩いていても出入口になりそうなところは具体的にはわかりません。水面下では色々進んでいるのだと思いますが、楽しみです。

東京8号線(豊洲~住吉間)整備計画調査報告書より

ST3(東陽町~住吉間)

新駅候補ST3駅の位置は千石2丁目~千田付近であると思われます。こちらも現地付近を歩いて見てもまだ何もわかりません。また、「東京8号線整備計画調査報告書」にはST3駅は出入口を4か所を想定しているようです。

東陽町駅は変化するのか?

東京8号線(豊洲~住吉間)整備計画調査報告書より

上記の絵は、東京8号線(豊洲~住吉間)整備計画調査報告書のものです。新駅候補2駅だけでなく、8号線延伸によって、東陽町駅は「新たな都市拠点にふさわしい交流まちづくり」の形成を目指すとされています。駅出入り口、公園などと一体に精整備を推進していくようです。今の駅前のイメージと大分違いますね。

用地買収と用地費

東京8号線(豊洲~住吉間)整備計画調査報告書より

東京8号線(豊洲~住吉間)整備計画調査報告書によると、8号線延伸に伴って、一部土地買収をしなければなりません。価格は近隣の公示価格の1.2倍と算出しています。また、地下補償としては、買収価格の30%を区分地上権として算出しています。

【江東区解答】8号線延伸のよくある3つの質問

江東区がよくある質問としてまとめている3つの事項について、公に回答されているものを紹介したいと思います。

東京8号線(豊洲~住吉間)はいつ開通するのか?

東京8号線(豊洲~住吉間)延伸は江東区単独で実現できるものではなく、東京都、事業主体となることが期待される東京メトロ等との合意形成を経て実現するものです。

令和3年7月に公表された、国の交通政策審議会答申「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」において、東京8号線(豊洲~住吉間)は、「早期の事業化を図るべき」と示されましたが、具体的な開通時期は未定となっています。

なお、建設期間は概ね10年間と見込まれており、その他に都市計画決定、環境影響評価等の手続きや試運転等の期間が必要となります。

2022年度予算案に国と東京都が東京8号線の環境影響調査費用を盛り込んでいます。実際、2022年3月に現在、「枝川第三児童遊園」「川南公園」など5か所で地質調査を行っています。このまま順調に進んだとして、2030年代半ばと予想されていますが、どうなるでしょうか!?

中間駅はどこにできるのか?

江東区の調査では、東京メトロ東西線との結節駅である東陽町のほか、駅徒歩10分圏外となっている鉄道交通不便地域解消のため、豊洲~東陽町間、東陽町~住吉間の概ね中間地点に各1駅の中間新駅を想定しています。但し、地下鉄駅の整備には多額の費用を要するため、中間新駅が整備されると決まっているわけではありません。

「豊洲~東陽町間」「東陽町~住吉間」の2駅が現時点での新駅予定地となっています。

なぜ、時間がかかっているのか?

東京8号線(豊洲~住吉間)は昭和47年に国の都市交通審議会答申第15号で初めて位置付けられ、昭和57年1月には営団(現東京メトロ)から免許申請もなされましたが、国の認可が下りることなく、平成16年4月に営団が民営化されました。営団民営化にあたり、東京メトロは副都心線を最後に新線建設を行わない方針を出したため、整備主体が不在となってしまいました。

その後、営業主体と整備主体を分離する「上下分離方式」の事業スキームが国内の新線整備において適用されるようになったため、東京8号線延伸においても、上下分離方式による整備の検討を始めましたが、営業主体、整備主体の決定や整備・営業面でのリスク分担、施設使用料の考え方など、多角的な検討が必要であり、事業化に向けた検討期間が長くなっていました。

しかし、令和3年7月に公表された、国の交通政策審議会答申「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」において、「事業主体の選定や費用負担の調整を早急に進め、早期の事業化を図るべき」と示されるなど、事業化に向けた動きは加速しています。

他の行政への影響はあるのか!?

8号線延伸の影響は江東区だけではありません。「東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉)」は「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」「東京8号線の延伸(押上~野田市)」及び「東京11号線(半蔵門線)の延伸(押上~四ツ木~松戸)」「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」に位置づけられています。

そのため、江東区・墨田区・葛飾区・松戸市・足立区・八潮市・越谷市・松伏町・野田市に影響するプロジェクトです。