謄本で出てくる「移記」どういうこと!?

はじめに。「登記簿謄本」と「登記事項証明書」

登記簿謄本は、登記簿の記載事項を写したものに証明印が押されているものです。これは、明治20年に登記法が施行されて、各法務局で保管されていたものを、証明書として発行していたものです。

しかし、現在は、電子化が進んできました。紙で法務局に保管されている内容についても、コンピューターに入っている電子データを使って、証明書として発行するようになってきました。電子化後は、「電子化された登記に書かれている内容を証明する」という意味合いで「登記事項証明書」と呼ばれるようになりました。どちらも証明内容としては一緒です。

また、現在でいう登記事項証明書であっても、業界用語として、謄本と呼ばれることが多いのが実態です。

移記(いき)とは?どういう意味!?

登記簿謄本で、「移記」と書かれていることがあります。例えば、「順位2位の登記を移記」などです。どういう意味なのでしょうか。移記と言っても、いくつか種類があります。コンピュータ化による移記、枚数過多による移記、粗悪移記などです。一つずつ見ていきましょう。

コンピュータ化による移記

不動産登記は、土地や建物の情報を国が管理して、権利を把握できるものです。今、登記簿は電子化されたため、インターネットで請求できるようになっています。しかし、昭和の時代では紙媒体で管理されていましたが、昭和63年に電子化が進められることになりました。

紙媒体の時の登記簿の内容が、移して記されたとして、登記簿に「昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記」と記載されています。

枚数過多による移記

不動産登記は、年々増えていきます。旧不動産登記法の下では、登記簿は紙に登記情報がかかれていました。紙に全てのデータを増やしていくのは大変なため、新しい紙に移すことが認められています。

この場合、登記簿には「不動産登記法76条1項の規定により移記」と書かれています。ただし、不動産登記法が改正されて、現在の条文では、「不動産登記規則第6条」の記載になっています。

具体的には、敷地権化されていないマンションの土地謄本で見られるものがあります。敷地権化されていないマンションの土地には大量のデータがあるため、枚数が相当な量になるためです。

粗悪移記

粗悪移記とは、昭和初期の時代には、物資不足のため、登記簿に質が悪い紙が使われていたことがありました。登記簿に質が悪い紙を使い続けていると、閲覧や保存という点で長期的にみて問題があります。そのため、新しい用紙に移し替えるというものです。

この場合、登記簿には「法務大臣の命により移記」と記載されています。