【合格者が話す】基本的考察の5つの質問を深堀する

不動産の鑑定評価に関する基本的考察 前文

第1章 不動産の鑑定評価に関する基本的考察

不動産の鑑定評価とはどのようなことであるか、それは何故に必要であるか、われわれの社会においてそれはどのような役割を果たすものであるか、そしてこの役割の具体的な担当者である不動産鑑定士に対して要請されるものは何であるか、不動産鑑定士は、まず、これらについて十分に理解し、体得するところがなければならない。

不動産鑑定評価基準 第1章

不動産鑑定評価基準の1章の前文の5つの質問はどのような答えになるのでしょうか。一つずつ見ていきたいと思います。

基本的考察の5つの質問

不動産の鑑定評価とはどのようなことか?

不動産の鑑定評価とはどのようなことか?

不動産の鑑定評価とは、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を、不動産鑑定士が的確に把握する作業に代表される仕事である。

不動産の鑑定評価は、さまざまな側面から定義されています。上記の定義以外にも以下のものがあります。

不動産の鑑定評価とはどのようなことか?

不動産の鑑定評価とは、その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することである。

不動産の鑑定評価とはどのようなことか?

不動産の鑑定評価とは、練達堪能な専門家によってはじめて可能な仕事であるから、不動産の価格に関する専門家の判断であり、意見であるといってよい。

不動産の鑑定評価とはどのようなことか?

不動産の鑑定評価とは、この社会における一連の価格秩序のなかで、対象不動産の価格の占める適正なあり所を指摘することである。

不動産の鑑定評価とはどのようなことか?

不動産の鑑定評価とは、その不動産の価格の形成けて位を追求し、分析することを本質とするものである。

不動産の鑑定評価とはどのようなことか?

不動産の鑑定評価とは、不動産の適正な価格を求め、その適正な価格の形成に資するもの。

不動産の鑑定評価はなぜ必要なのか?

不動産の鑑定評価はなぜ必要なのか?

不動産の現実の取引価格等は、取引等の必要に応じて個別的に形成されるのが通常であり、しかもしれは個別的な事情に左右されがちのものであって、このような取引価格等から不動産の適正な価格を見出すことは一般の人には非常に困難である。したがって、不動産の適正な価格については専門家としての不動産関鑑定士の鑑定評価活動が必要となるものである。

不動産の鑑定評価の社会的公共的意義とは?

不動産の鑑定評価の社会的公共的意義とは?

この社会における一連の価格秩序のなかで、対象不動産の占める適正なあり所を指摘することであるから(依頼者のみならず、鑑定評価書を通じて利害関係者に対しても重大な影響を与えるものであるから)、その社会的公共的意義は極めて大きいといわなければならない。

不動産鑑定士に要請されるものは何か?

不動産鑑定士に要請されるものは何か?

不動産鑑定士に要請されるもの3つあります。(A)土地基本法からの要請(B)不動産の鑑定評価に関する法律からの要請(C)不動産鑑定評価基準自体からの要請です。

(A)土地は、土地基本法に定める土地についての基本理念に即して利用及び取引が行わ
れるべきであり、特に投機的取引の対象とされてはならないものである。不動産鑑定
士は、このような土地についての基本的な認識に立って不動産の鑑定評価を行わなけ
ればならない。【土地基本法】

(B)不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を担当する者として、十分に能力のある専門家
としての地位を不動産の鑑定評価に関する法律によって認められ、付与されるもので
ある。したがって、不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価の社会的公共的意義を理解し、
その責務を自覚し、的確かつ誠実な鑑定評価活動の実践をもって、社会一般の信頼と
期待に報いなければならない。

そのためには、まず、不動産鑑定士は、同法に規定されているとおり、良心に従い、
誠実に不動産の鑑定評価を行い、専門職業家としての社会的信用を傷つけるような行為をしてはならないとともに、正当な理由がなくて、その職務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないことはいうまでもなく【不動産の鑑定評価に関する法律】

(C)さらに次に述べる事項を遵守して資質の向上に努めなければならない。

(1)高度な知識と豊富な経験と的確な判断力とが有機的に統一されて、初めて的確な
鑑定評価が可能となるのであるから、不断の勉強と研鑚とによってこれを体得し、
鑑定評価の進歩改善に努力すること。
(2)依頼者に対して鑑定評価の結果を分かり易く誠実に説明を行い得るようにすると
ともに、社会一般に対して、実践活動をもって、不動産の鑑定評価及びその制度に
関する理解を深めることにより、不動産の鑑定評価に対する信頼を高めるよう努め
ること。
(3)不動産の鑑定評価に当たっては、自己又は関係人の利害の有無その他いかなる理
由にかかわらず、公平妥当な態度を保持すること。
(4)不動産の鑑定評価に当たっては、専門職業家としての注意を払わなければならな
いこと。
(5)自己の能力の限度を超えていると思われる不動産の鑑定評価を引き受け、又は縁
故若しくは特別の利害関係を有する場合等、公平な鑑定評価を害する恐れのあると
きは、原則として不動産の鑑定評価を引き受けてはならないこと。【不動産鑑定評価基準】

不動産の鑑定評価はどのようにしたら可能であるか?

不動産の鑑定評価はどのようにしたら可能であるか?

形式的要件と実質的要件の両方を具備することで可能となります。

①形式的要件:第8章の鑑定評価手順を尽くすことで、可能となります。

②実質的要件:不動産鑑定士が能力を持ち、さらにその能力を行使するにあたり誠実であって、はじめて合理的かつ客観的に論証できるものとなります。