もくじ
限定価格とは?
限定価格とは?
限定価格とは、市場性を売ゆする不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該以上限定に基づく市場価値を適正に表示する価格ををいう。
限定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合
(2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
(3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合
不動産鑑定評価基準 第5章 限定価格より
限定価格と関連する2つのこと
- 最有効使用を前提とした価格であること
- 寄与の原則
限定価格を考えるうえで2つのことを密接に関連します。1つ目は、限定価格を求める場合であっても最有効使用を前提とした価格であるということ。2つ目は、限定価格の配分率の査定にあたって、寄与の原則が関連してくるということです。
限定価格を求めることができる3つを解説
①借地権者が「底地」の併合を目的とする場合
- 通常:借地権A(50)+底地B(30)<更地C(100)
- 限定価格(B):借地権者が底地を購入する場合:C(100)-A(50)=50
- 第三者が底地を購入する場合(B)=30
※つまり、第三者が底地を購入する場合30しか価格を提示できないことに対して、借地権者は底地を併合することによって50まで価格を提示できるということです。
底地を借地権者が買い取る場合には、①完全所有権による最有効使用の実現の期待、②担保価値の増大、③市場性回復による価値の増分などが見込まれます。
更地は土地の最有効使用が常に可能であり、担保価値も大きくなります。一般的には、「更地の価格>借地権価格+底地価格」という関係が成り立つため、借地権者は底地を正常価格より高く買い取っても経済合理性が成り立ちます。
この場合、第三者が介入する余地がなくなり市場が相対的に限定されることになります。
②「隣接不動産の併合」を目的とする場合
- 通常:A(30)+B(50)<C(100)
- 限定価格(B):C(100)-A(30)=70
- 第三者がB地を購入する場合(B)=50
※つまり、第三者がB地を購入する場合、50しか価格を提示することができないことに対して、A地所有者は隣接地を併合することによって、70まで価格を提示できるということです。
ある土地を隣接地と併合した場合、併合後の土地の価格が、併合前のそれぞれの土地の価格の合計額より高くなることがあります。これは、隣接地を併合し整形地となること等により、併合後の土地の最有効使用の程度が上昇したためです。
そこで、A地の所有者が隣接するB地を併合しようとする場合、これにより併合後の土地の価格が併合前のそれぞれの土地の価格の合計額より高くなるときは、A土地所有者にとっては、B地を併合することで増分価値が生じ、結果的に限定されることになります。
隣接地の併合といっても具体的にいくつかあります。代表的な事例は以下の通りです。
※旗竿地所有者Aが隣接B地を併合する場合
※不整形地所有者AがB地を併合する場合
※無道路地所有者AがB地を併合する場合
※小規模土地所有者AがB地を併合する場合
③「経済合理性に反する不動産の分割」を前提とする場合
- 通常:C(100)>A(30)+B(50)
- C一部を分割するBの限定価格:C(100)-A(30)=B(70)
- B単独の価格:B(50)
※つまり、C土地の一部のBのみを取得しようとする場合、残地Aの最有効使用の程度が低下し、減価が生じます。従って、残地Aの減価分の補償分を20を上乗せした70の価格で取得しなければならない。
ある土地の一部のみを取得しようとする場合は、残地の最有効使用の程度が低下し、減価が生ずることがあります。
このような場合には、当該土地の所有者は、残地の減価分の補償を受けない限りその土地の一部を分割して譲渡しようとはしないはずです。そこで当該土地を分割して取得しようとする者は残地の減価分の補償を上乗せした価格で取得しなければならないですから、当該分割された土地の価格は、市場価値と乖離し、市場が相対的に限定されることになります。この減価分の補償を上乗せした価格が経済合理性に反する不動産の分割を前提した売買における限定価格となります。