もくじ
土地基本法と不動産鑑定士の責務
土地基本法からの要請
土地は、土地基本法に定める土地についての基本理念に即して利用及び取引が行われるべきであり、特に投機的取引の対象とされてはならないものである。不動産鑑定士は、このような土地についての基本的な認識に立って不動産の鑑定評価を行わなければならない。
不動産鑑定評価基準 1-4より
この基準の文章が土地基本法からの要請であり、土地基本法の基本理念である投機的取引の排除に即した取引が行われるべきであるという認識の下で鑑定評価を行いましょうというものです。
土地基本法 第4条
土地は、投機的取引の対象とされてはならない。
土地基本法 第4条 投機的取引の抑制
なぜ、土地基本法が制定されたのか!?
なぜ、土地基本法が制定されたのでしょうか。土地基本法は、バブル時の異常な地価高騰に対処するために平成元年12月に制定されたというのが理由です。以下の4つの原則から成り立っています。
- 公共の福祉の優先
- 計画に従った適正な利用
- 投機的土地取引の抑制
- 地価の上昇に応じた受益者負担
【R2年4月】土地基本法の改正!?
所有者不明土地対策等の観点から、人口減少社会に対して土地政策を再構築するとともに、土地の所有と境界の情報インフラである地籍調査の円滑化・迅速化を一体的に措置することを目的とした「土地基本法等の一部を改正する法律」が令和2年3月27日国会で成立しました。これに伴い、令和2年4月1日より施行となります。
改正のポイント
- 土地所有者等の土地の適正な「利用」「管理」に関する責務を明確化(登記等権利関係の明確化、境界の明確化)
- 国・地方公共団体の講ずべき施策について、土地の適正な「利用」「管理」を促進する観点からの見直し
昨今の不動産取引でも、土地所有者不明物件や隣接地の方が見つからないための測量不調などが増えています。こういった問題を少しでも解決できるようにしてほしいと感じています。
【結論】鑑定士は投機的取引はNGだという認識が必要
結論として、不動産鑑定士は、土地基本法の基本理念である投機的取引の排除に即した取引が行われるべきであるという認識の下で鑑定評価を行いましょうというものです。