タワーマンションの節税は変わる!? 

はじめに

こんにちは。東京を中心に2012年頃から不動産価格が上昇し、タワーマンション節税が富裕層の中で注目されてきました。そんな中、平成29年にタワーマンションの固定資産税に関する税制改正がありました。今後のタワーマンション節税は、変わっていくのでしょうか。本日は、タワマン節税についてお話をしていきます。

タワーマンション節税とは?

タワーマンション節税とは、わかりやすくお話すると、相続税を支払う必要がある層(富裕層)の方が、都心部のタワーマンションを購入することによって、相続税の節税になるという方法をいいます。

タワマン節税が可能となる3つの理由

相続税の評価、計算では、現金は額面そのまま、株式や債券も市場の取引価格で評価をされます。それに対して、不動産の相続税評価額は時価と比較すると、低くなります。なかでも、タワーマンションは、時価と相続税評価額の差異が大きいです。これを利用したのが、タワマン節税と言われるものです。

では、なぜタワマン節税は、効果が発揮できる仕組みになっているのでしょうか。評価額が下がる仕組みは3つあります。1つ目は、土地評価が抑えられる。2つ目は、建物評価が抑えられる。3つ目はタワーマンションの上層階が節税効果が高いということです。それでは、一つずつ見ていきましょう。

土地価格が抑えられる

タワーマンション節税の1つ目です。土地評価が抑えられるということです。相続税の土地評価は、相続税路線価で計算されます。そのため、時価のおおむね8割程度で評価されています。

また、タワーマンションの場合、土地の面積が小さいため、結果土地持分が小さくなります。そのため、タワーマンションの土地評価については、低くなることが多いです。 

建物価格が抑えられる

タワーマンション節税の2つ目です。建物評価が抑えられるということです。相続税の建物評価は、固定資産税評価にて評価されます。なお、固定資産税評価額は、時価のおおむね7割程度で評価されています。

そのため、建物価格についても価格を抑えられるということになります。

タワーマンションの上層階は節税効果が高い

タワーマンション節税の3つ目です。3つ目はタワーマンションの上層階が節税効果が高いということです。タワーマンションが相続税評価額と時価に大きな乖離がある理由は、マンションの固定資産税の計算方法にあります。

マンションの固定資産税は、1棟全体の建物の固定資産税評価額が計算され、それを専有面積によって按分することになります。この場合、階層や部屋の向き、眺望、などは関係ありません。しかし、時価で見ると上層階と下層階の価格に差異が出てきます。つまり、タワーマンションの上層階になればなるほど節税効果が大きくなるということです。

さらに、部屋を賃貸にすることによって、土地は貸家建付地、建物は借家として評価をさらに下げることができます。これによって時価との差額を大きくするということです。タワーマンション節税の仕組みは、こういった所にあります。

しかし、現在は平成29年税制改正によって、タワーマンション節税にどの程度影響が出てくるでしょうか。次は、平成29年度税制改正について見ていきたいと思います。

平成29年税制改正。タワマンの固定資産税の計算方法

平成29年度税制改正により、タワーマンションの固定資産税の計算方法が、次のように改正されました。

改正内容
  • 高さが60mを超える居住用超高層建築物に係る固定資産税を、階層の差異による取引単価の変化の傾向を反映する補正率(階層別専有床面積補正率)により、補正します。
  • 階層別専有面積補正率とは、1階を100として、階が1つ増やすごとに10/39を加えた数値をいいます。つまり、高層階が増税、低層階は減税となります。
  • 平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)について適用されます。
改正でタワマン節税に影響はあるのか?

平成29年度のタワーマンションにおける固定資産税の見直しで、タワマン節税に影響はあるのでしょうか。これについては、節税効果は多少下がることになるでしょうが、大きな影響はないでしょう。

タワマン節税が否認されるケースは?

平成29年度税制改正で、タワマン節税の効果は、さほど変わらないことはわかりました。タワマン節税のニーズも依然と多い状況です。

その中で、国税庁がタワマン節税に厳しい目を向けているという話はよく聞きます。それは、タワマン節税が租税回避行為ではないかということで、厳重なチェックが行われているということです。租税回避とは、脱税ではないが、不自然・不合理な形で税負担を減少させようとする行為を言います。

評価基本通達第6項

この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する

タワマン節税で否認される可能性があるケースはいくつか考えられます。

否認されるケース
  • 相続発生の直前に購入する
  • 相続が発生してすぐに売却している
  • 購入時に被相続人に認知症の疑いあり

いずれにしても、タワマン節税を考えている方は、不動産会社だけでなく節税に強い税理士に事前に相談することが重要です。