宅建士の名義貸しは違法!?【判例からみるヤバ過ぎるリスク】

宅建士の名義貸しは違法なんですか?

かおるちゃん 疑問
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宅建士
宅建士

宅建士の名義貸しは違法です。
最新の判例を例に名義貸しをした場合、どういったことが起こり得るかそのリスクについて見ていきましょう。

宅建士の名義貸しは違法!?

宅建士は、人気の資格です。宅建士の資格を取得して副業したいとお考えの方もいるはずです。本日は、宅建士の副業の中で名義貸しのお話をしていきたいと思っています。

名義貸しって何?

名義貸しとは、宅建士としての名義を貸すことをいいます。宅建士として、通常通り働くこと、副業することに何ら問題はありません。では、どういった時に問題となるのでしょうか。

宅建士の名義貸しは違法!?

最初に、専任の宅建士について話をしていきたいと思います。宅建業法では、宅建業者に対して、事務所に5名に1名以上の専任の宅地建物取引士の設置を義務付けています。専任の宅建士とは、宅地建物取引業者を営む事務所に常勤して、専ら宅地建物取引業に従事する状態を言います。(常勤性・専従性)

従って、常勤せず、もっぱら仕事に携わることがない、宅建士は専任の宅建士として登録することはできません。しかし、宅建業者は、5人に1人の専任の宅建士を置かないといけないために、専任の宅建士不足になった場合、名義貸ししてくれる宅建士を探すということです。

宅建士の名義貸しは、宅建業法で禁じられています。懲役、罰金、免許取りけしのペナルティがあり、違法行為になりますので、そのリスクを十分に理解しておきましょう。

「業者としての名義貸し」と「宅建士としての名義貸し」の違い

名義貸しは、宅建業者としての名義貸しと宅建士としての名義貸しがあります。混同しないように覚えておきましょう。結論としては、共に禁止されている行為です。

  • 宅建業者としての名義貸し:宅建業法第13条1により、禁止されています。
  • 宅建士としての名義貸し:宅建業法第68条及び68条の2により、禁止されています。

【最新判例】宅建士の名義貸し責任とリスクについて

最新判例を一つ紹介します。原野商法の被害者が、詐欺行為を行った宅建業者に名義貸しをした宅地建物取引士に、共同不法行為による損害賠償を求めた事案です。要約します。

判例要約
  • 平成28年5月:宅建士Yは、紹介により宅建業者Aの専任の宅建士として、名義貸しをする。
  • 平成28年10月:業者Aは、X(原告)に原野商法で山林売買をさせる。Xは複数物件の売買契約を締結させられ1880万を支払った。宅建士Yは、これらの契約に立ち会ったり、重要事項説明をすることはなかったが、契約書及び重要事項説明には、宅建士Yの記名・押印がある。宅建士Yは業者Aに名義貸しの承諾はしたが、業者Aがどのような仕事をしているかは知らなかった。
  • 裁判所は、宅建士Yに対し、Xに生じた損害および弁護士費用の合計2095万円の損害賠償を命じた。
  • 宅建業者Aは、Xに対し詐欺を行って、損害を負わせたため、不法行為責任を負う。
  • 宅建士Yは、詐欺行為に幇助(ほうじょ)にあたり、共同不法行為責任を負う。宅建業法68条及び68条の2が、宅建士が他人に自己の名義の使用を許して他人がその名義を使用して宅建士である旨の表示をしたときは、都道府県知事は、宅建士に対し、必要な指示をすることができ、情状が特に重いときは、当該登録を消除しなければならないことを規定している。

自分の知らないところでこんなことが起こるなんて、怖いですね。。。

かおるちゃん
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宅建士
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名義貸しを依頼する業者の中には、悪徳業者もいます。
悪徳業者に気を付けるというより、名義貸しは違法ですので辞めましょう!

名義貸しの相場はいくらくらい!?

名義貸しの相場は、おおむね2万円~5万円程度でしょう。今この時代は、名義貸しは無くなったとという声もありますが、不動産業界の現場にいる人であればわかりますが、無くなっていません。もちろん、昔のようにどこでも名義貸しという風潮は少なくなっています。しかし、専任の宅建士を5人の1人置かなくてはいけないという設置義務がある以上、中小の不動産会社では頭の悩みどころであることは間違いありません。

名義貸しの副業vsリスク

名義貸しの話がある時は、紹介で話がくることが多いでしょう。この人の紹介なら大丈夫と思って名義貸しをすると痛い目に合うこともあります。

今回ご紹介した判例も業者は、間違いなく悪徳業者でしょう。そして、悪徳業者からすると、都合の悪い話ですから、名義貸しの宅建士の名前でやった方がいいでしょう。

「名前貸すだけで何もしなくていいから」という名義貸しのセールストークは、逆に危ないことに巻き込まれてしまいます。月2万円~5万円の副業でお小遣い稼ぎができたとしても、損害賠償で約2000万円も請求されては意味のないことです。名義貸しの副業は、少しのお小遣いになったとしても、大きなリスクがあることを忘れてはいけません。