賃貸と購入を比べたら、結局どっちがお得なの!?
よくある話ですね。今日はこの疑問にお答えします。
もくじ
賃貸vs購入
私の立場なら購入することを選びます。まず、私のマイホーム歴を簡単にお話します。
初めてマイホームを購入したのは、1人暮らしをして数年たった時、1LDKのマンションを購入しました。約5年後に結婚することになり、部屋が狭くなったので、1LDKのマンションを売却して2LDKのマンションに買い替えました。更に数年後子供が出来ました。子供が幼稚園生になった時に、子供部屋が必要になり、2LDKのマンションを売却して3LDKのマンションを購入しました。生活スタイルが変わって、3回マンションを買い換えました。これは、私の実体験です。
この章では、私の話を分解しながら「私がなぜ購入するのかの理由」と「すべての人が購入した方がいいわけではない注意事項」のお話をします。お付き合いください。
論点がずれている「賃貸vs購入」理論!
たいていの「賃貸vs購入」理論を展開している方々は、ある一定の条件を過程として、「35年間同じ賃料で賃貸した時の費用」と「購入して35年間住み続けた時の費用」を比較して、どっちがお得かという話であることが多いです。
ここでよく考えてみてください。どれくらいの方が35年間同じ部屋に住み続けるでしょうか?
これは賃貸でも購入でも同じことです。多くの方の生活スタイルを考えてみましょう。
- 実家を出て1人暮らし→間取りは1Rでしょうか。(例えば、22歳)
- 結婚する→間取りは2LDKでしょうか。(例えば、30歳)
- 子供が出来る→子供部屋が必要ですから3LDK、4LDKでしょうか。(例えば、35歳~50歳)
- 子供が成人して夫婦2人になる→2LDKでしょうか。(例えば55歳~60歳)
Aさんの場合、38年間の生活スタイルで望ましい部屋のタイプは実に4回変わっています。しかし、多くの人は、3~4回くらい生活スタイルは変わるでしょう。つまり、この話をする際、そもそも35年間同じ家に住み続ける人は多くないということを理解しておく必要があります。
なぜ、私の立場なら購入するのか!?
「賃貸vs購入」であれば、私は購入します。ポイントが2つあります。
1つ目は、期間です。購入と言っても35年同じところに住み、35年同じローンを支払いを払い続けることを想定していません。私の場合は、5年程度で買い替えていきます。逆に「35年同じ部屋を賃貸vs購入して35年同じ部屋」なら賃貸でしょう。それだけ35年という月日は長く、将来を読めないことが多すぎるのです。
2つ目は、買い替えで利益を出すということです。私は3回の買い替えをしていますが、都度利益が出ています。残念ながら賃貸を借りている状態では基本的には利益を出すことは出来ないからです。
最も大事なことはリセールバリュー
一番重要なことは、リセールバリューです。もちろん、購入する時に相場より安く購入出来ればいいでしょう。しかし、それは誰にでも出来ることではありません。また、相場より安く購入することばかりに力を注ぐと、いつになっても購入できないこともあるでしょう。重要なのは購入した後に価値が下がりにくいかということです。
では、価値が下がりにくい物件とはどんな物件でしょうか。まず、マンションと戸建てだったらどっちかというと基本的にはマンションが下がりにくいです。戸建てだとダメというわけではありませんが、難しくなります。理由は、マンションは鉄筋コンクリートもしくは鉄骨鉄筋コンクリート造であるのに対して、戸建ては木造であることが多いです。建物の耐用年数が異なるため、戸建ての建物価値はマンションの建物価値の約2倍早く下がっていくからです。また、マンションであれば何でもいいわけではありません。今であれば駅近マンションで買い替えていくと価値の値下がりはしにくいでしょう。
見出しにつられず深く考えるとズレている5つのこと
賃貸と購入どっちが正解か
記事では私の立場なら購入すると結論付けています。しかし、人によって前提条件が違いますから、厳密にはどっちが正解かは人によって違います。何を望んでいるかが人によって異なるからです。
少し深く考えてみましょう。「得だから賃貸」「得だから購入」という得ということだけで、35年後のことを考えると結構難しいです。では、なぜ難しいのでしょうか?
- 時代の変化
- 35年間の自分の生活スタイル
- 35年賃貸した時の賃料
- 購入して35年間ローン返済していく金利
- 購入後の修繕費は考慮されているか
皆さんは、35年前今のような世の中になるとわかっていましたか!?普通は、携帯電話を常に持って生活していると思っていなかったはずです。不動産に関して言えば、平成のバブル期は郊外の一戸建てが流行りました。子供が生まれて、車買って、という生活スタイルです。しかし、今は少し変わりました。郊外の戸建てより駅近マンションの方が人気です。これは世の中の流れで、夫婦共働きが増えたことも理由です。奥さんも仕事にいくから駅近くのマンションの方が便利で、マンションから駅までの間にある保育園に子供を預けて、そのまま仕事に行くのが便利で選ばれるんです。こういった世間一般の生活スタイルも変わります。今、コロナで郊外の戸建て住宅(テレワーク用の書斎付きの戸建て)が人気が出てきていますが、また流れは変わるかもしれません。
続いて自分自身の生活スタイルについてです。通常、成人して一人ぐらいをして、結婚して、子供が出来て、子供が成人してとその都度生活スタイル、必要な間取りが変わります。そのため、不動産を1度買ってずっと住み続けるということは、合理的な話ではないんです。
3つ目です。よく賃貸vs購入の話で、「賃貸で月10万の家賃に30年住んだ場合」と「購入してローンを30年支払った場合」の比較シミュレーションなどを目にしますが、賃貸で30年間住んで月10万円の賃料をずっと支払うというのは、プロから見るとちょっと勿体ないです。もちろん何も言わずに賃貸を更新していけば10万円のままかもしれませんが、建物は年々劣化していきますから、最初月10万円だった物件も8万円、7万円、6万円、5万円と価値は下がっていきます。そのため、更新の際に賃料交渉して賃料は下げてもらうべきです。賃料が30年間ずっと同じという方が経済合理的にはおかしな話ですし、長期間の賃料合計を見積もるのも簡単な話ではありません。
4つ目がローンについてですね。私は不動産仲介の仕事が本業ですが、住宅ローンを借りる際、固定金利と変動金利では変動金利を選ぶ方が圧倒的に多いです。変動金利を選べば、金利が上昇することもあるでしょう。今日本では低金利が続いていますが、いつまでも同じであるという考えは安易だと思います。
最後に購入した場合の総費用として、ローンの費用だけでなく修繕費用も考慮されているかということです。たいてい不動産屋が賃貸vs購入で購入した方がお得と話すのは、購入してローン支払い終わったら自分のものになって費用がかからないからと言いますが、固定資産税はかかりますし、修繕費用がかかります。たいていの場合ローンを完済した場合は建物も経年劣化が進んでいるため、修繕費用もそれなりにかかるでしょう。こういった費用も考慮する必要があります。
「35年ローンで家を買うなんてあり得ない」は間違っている
- 「35年ローンで家を買うなんてあり得ない」→間違っていると思います。
- 「35年ローンで家を買って、35年間同じところに住んで、35年間同じ物件のローンを支払い続けるなんてあり得ない」→これは正しいと思います。
なぜ、前者は間違っているのでしょうか。ローンは長くひけるだけひいてなるべく早く返済する(繰上げ返済)が経済的には合理的です。また、私の場合は、35年ローンひいて、5年くらいで不動産を売却します。だからローンは長ければ長いほどいいです。
私は不動産仲介の仕事しているので不動産の売却をよく目にします。自宅の売却理由は、子供が出来て部屋が足りなくなったから、子供が成人して持て余しているから、離婚するからなどがありますが、35年ローン完済したから売却するという売却理由は、他の理由と比較すると少ないです。
おそらく「35年ローンで家を買うなんてあり得ない」という話をする人は、住宅ローンはリスクがあるので、長期ローンを否定したいのだと思います。私からすると住宅ローンは上手く使いましょうですね。
新築物件を買ってはいけないは本当!?
新築物件を買ってはいけないは本当でしょうか。新築物件は、不動産会社の利益がのっかっているますから、新築物件を買った途端に2割程度は、通常値下がりします。
まず、新築戸建で考えてみましょう。新築戸建ては、十中八九値下がり続けるでしょう。新築戸建の大半は、木造建築です。日本では木造建築の耐用年数は22年程度で計算されることが多く、年々建物価値が下がり、建物価値の下落のスピードはマンション約2倍です。
では、マンションの場合はどうでしょうか。分譲マンションは、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートで作られており、耐用年数は45年程度で計算されることが多いです。戸建ほど建物価値の下落が早くありませんが、不動産会社の利益がのっかっちるのは同じです。
しかし、マンションの場合は、稀に新築で購入しても値上がりすることがあります。私が考えるその特徴は下記の通りです。
- 地域NO1マンション
- 商業施設一体型マンション
地域NO1マンションであることは、例えばそのマンションより駅近マンションが存在しえない、駅直結マンションが代表例です。もう一つは商業施設一体型マンションです。これはマンションとしての価値、立地の価値に加えてプラスαの付加価値が加味される代表例です。
ちなみに、日本では今も新築信仰が根強く残っています。不動産や車は中古でなく新築で買うものだという考えですね。これは世界と比較すると日本の特徴的な点です。そういった考えを私は否定しません。ただ、得かどうかという話では、新築は損することがほとんどだということです。
人間は、想像がつかないことに不安を感じます
人間は、想像がつかないこと・理解ができないことに対して大きな不安を感じます。例えば、おばけですね。いるかどうかも、本当かもわかりません。だから怖いんです。不安になるんです。投資もそうですね。日本ではお金・金融については義務教育ではあまり学びません。だから、金融リテラシーが高くない日本人は、投資は怖いものだと結論付けてしまうのです。
住宅ローンは、大金を借りるわけです。今までの人生で借りたことのない金額を、30年だったり、35年だったり、長期間で借ります。将来何かおきないか、想像がつかないから不安になるんです。
私は、ローンで不動産を購入することに何も不安を感じません。仕事柄でしょう。まず、鑑定士ということもあって、不動産の適正な価格ということに関してはあまり外さないと思います。高く買ってしまったという心配は少ないでしょう。そして、本業が不動産仲介なので、不動産取引を多く見ています。こういったパターンは失敗するというケースは想像がつきます。また、任意売却も手掛けてきましたので、最悪自分がローンを支払えなくなった場合、任意売却になった場合どうなるか、金融機関がサービサーに債権を譲渡したらどうなるか、競売になったらどうなるか、といったことも想像がつきます。おおよそ、どうなるか理解しているからあまり不安にならないのでしょう。
つまり、不動産に対して素人の人もある程度知識を付けたり、信頼をおける不動産のことを相談できる人がいると違うでしょう。
他の人の意見に耳を傾けてみよう
ここでは、賃貸vs購入かについて、他の方の意見を紹介します。
ユーチューブで「賃貸vs購入」の意見を見てみよう
王道は賃貸だと結論付けています。また、絶対やってはいけないことは新築を買うことと話をしていますね。
持ち家と賃貸どちらが賢いかという話で賃貸の方がいい。持ち家はリスクがあるからと話をしています。
マナズさんは、結論で選ぶべきは完全に賃貸と話をしています。こういった意見は多いですよね。私の考え方とは違いますが、賃貸派の意見の人によくある話だと思います。
結論は、ライフスタイル次第と言ってます。平均的な同じグレードの家を借りるのと買った方がどっちが安くなるかというと、買った方がトータルは安いと話をしています。
前提条件(資産・価値観・家族構成・今後の展望)と物件(戸建かマンションか、新築か中古か)で答えは変わってくると話しています。今回上げたユーチューブ動画の中で考え方は一番近いと思いました。
本で意見を見てみよう。
Vol.1 賃貸か購入か キンドル・リノベシリーズ (ちきりんブックス)