もくじ
不動産鑑定士の合格者数の分布
不動産鑑定士の合格者
- 国土交通省「不動産鑑定合格発表」より
上記のグラフは、不動産鑑定士論文式試験の平成18年から平成30年までの合格者の男女比です。
なぜ、平成18年度からのデータを抽出したかというと平成16年に「不動産の鑑定評価に関する法律」が改正され、平成18年から新制度として、従来の1次試験及び3次試験に当たるものが廃止され、短答式試験及び論文式試験の2段階に変更となったためです。そのため、平成18年度の論文式試験のデータから抽出しています。
- 平成18年:男性77名、女性17名、合計94名
- 平成19年:男性106名、女性14名、合計120名
- 平成20年:男性119名、女性13名、合計132名
- 平成21年:男性113名、女性11名、合計124名
- 平成22年:男性99名、女性7名、合計106名
- 平成23年:男性99名、女性18名、合計117名
- 平成24年:男性93名、女性11名、合計104名
- 平成25年:男性81名、女性17名、合計98名
- 平成26年:男性76名、女性8名、合計84名
- 平成27年:男性88名、女性12名、合計96名
- 平成28年:男性89名、女性14名、合計103名
- 平成29年:男性89名、女性17名、合計106名
- 平成30年:男性107名、女性10名、合計117名
13年間のデータでは、合格者約100名に対して、女性の合格者が10名前後です。一番少なかった年は、平成22年で7名、一番多かった年は、平成23年で18名です。
私は、不動産鑑定士という職業は、女性に向いていると思っていますが、合格者のデータを見ると約1割しか女性が合格していないということがわかります。
直近10年の男女構成比
直近10年の登録者の男女構成比をみてみます。データが少し古いですが、2016年時点で男性85.3%、女性14.7%の構成比率となっています。データ上直近10年のデータでは、女性比率が上がってきていることがわかります。
不動産鑑定士の仕事が女性に向いている4つの理由
不動産に関わるイメージの改善
一般には不動産鑑定のイメージを持っている人は少ないので、不動産のイメージから入るわけですが、私が学生時代の不動産のイメージは、「地上げ」「営業で騙す」「土地転売」などとにかくイメージが悪かったです。
最近では、外資系企業やREITなど少しまででは想像しなかったスマートなイメージも出てきているため、イメージが良くなっていることが言えます。
鑑定評価という仕事柄
前述のように、イメージは良くなってきました。しかし、例えば不動産営業といえば、まだまだノルマが厳しい、男性社会の仕事です。しかし、鑑定評価という業務は、営業とは異なって、不動産鑑定士自身の不動産に対するセンス・感性・数字的なものに大きく影響されるものです。
例えば、住宅地の評価では地域の特性や生活利便性の分析の判断、商業地の評価では店舗のトレンドなど女性目線での分析の方が生かせる場面も多いでしょう。
顧客の質がいい
不動産営業と違って、鑑定では、顧客も例えば金融機関、弁護士・会計士・税理士・公的機関・ファンド・法人の総務部など質がいいことが多いでしょう。また、営業と異なって、そういったクライアントに飛び込みで案件を取得してくるといったことも少ないでしょう。
サラリーマンと異なる独立の道がある
サラリーマンであると男女平等といえど、未だ女性が弱い立場にいることが多いでしょう。例えば、子供の出産後に仕事復帰する難しさ、復帰できても望んでいない部署での仕事になったりというとこは少なくありません。
不動産鑑定士は、独立開業が可能な資格です。結婚や子育て後でも独立開業して自分のペースで仕事をしていくことも十分可能です。
私の個人的な意見
私が会う女性の不動産鑑定士の方は、仕事が出来る方が多いです。自分の意見をしっかり持っていて、仕事に熱心で、女性ならではの分析が上手で、そういった点から不動産鑑定士は女性に向いていると感じています。
受験勉強も主婦の方でも出来ますし、年齢も20代、30代が多いかもしれませんが、鑑定士としてバリバリ働いている女性の方は、40代・50代も多いです。女性だけど大丈夫かなと思っている方がもしいるとしたら、大丈夫です。女性が活躍できる仕事ですと言いたいです。