私は買わない!私道物件 5/5話 「大規模分譲地の私道 分譲20年後の悲劇・・・」

 大規模分譲地の私道 分譲20年後の悲劇・・・  

関東圏のある地域で、バブル期に大規模分譲された地域がありました。分譲後20年を越した時に、悲劇が起こりました。。。

建築基準法42条1項2号 開発道路

「開発道路」とは、都市計画法による開発許可を得た開発区域内の道路のことをいい、建築基準法第42条1項2号の道路に該当します。42条1項2号道路は、その所有権が市町村に移管されないこともあり、その場合、公道になりません。これは、事前協議で決定されます。

 開発道路が公道に移管されるケースとされないケース

42条1項2号開発道路は、全て公道になるわけではありません。例えば、下記のようなケースは、開発行為の事前協議の段階で公道と認められず、私道としてその所有者である分譲主もしくは分譲地の購入者が共同で管理することもあります。(詳細の基準は、行政により異なる)

開発道路が公道に移管されないケース

①公道から公道に接続していない

②迂回路のように分譲地内でコの字型に築造された道路

③行き止まり道路

大規模分譲地の私道 分譲20年後の悲劇・・・【続き】

東京都のある地域でバブル期に100戸超えとなる大規模分譲された地域がありました。

不動産会社Aは、宅地造成を行い分譲を行いました。しかし、残り20戸前後になった時に、不動産会社Aは、残り20戸を時間をかけて一般エンドユーザーに売却することを断念し、不動産会社Bに利益なし経費を考えるとやや赤字で一括売却をしました。

大規模開発地の中には、行き止まり道路もあり、開発時に市に移管することができず、私道として不動産会社Aが所有、維持管理を行うようになっていました。しかし、残りの分譲地20戸を不動産会社Bに一括売却した際に、私道も一緒に売却されていました。

何事もなく長い月日が経過しましたが、分譲20年後に不動産会社Bが破産をしました。債権者であった不動産会社Cが代物弁済(※1)で本件私道を取得し、その後不動産会社Cは、その私道に接道する宅地所有者に私道の通行及び掘削承諾のための費用を請求しました。

宅地所有者である方々は、弁護士をたてました。当初分譲会社である不動産会社Aを絡めた裁判となったのです。

※1.代物弁済とは、既存の債務で債務者が本来的に負担することとなっている給付に代えて、他の給付をなすことで既存の債務を消滅させること。

※2.説明をわかりやすくするため、数字を簡素化しています。

まとめ・ポイント

私道と公道は、異なります。公道では起きないようなことが、私道では起こります。もちろん私道全てがそうではありませんが、私道には私道特有のリスクがあるのです。そのリスクを限りなく低くする、もしくは私道物件は買わないと割り切る必要があると私は思っています。