告知事項が明確になるということですが、具体的に教えて下さい。
本日は、こういった疑問にお答えします。
もくじ
心理的瑕疵とは?
心理的瑕疵とは、物件的・法律的・環境的に問題ないが、その目的物を使用するにあたり、心理的嫌悪感がある瑕疵を心理的瑕疵とよんでいます。
具体例として「殺人事件があった」「自殺があった」「近隣に嫌悪施設がある」「暴力団構成員が住んでいる」といった内容です。
宅建業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン
ガイドラインが公表された背景について
国土交通省から「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)」が公表されました。(2021年5月20日)
不動産取引で、過去に所有者・入居者らが死亡していたなどの事情が存在するいわゆる「事故物件」について、宅建業法及び判例上、心理的瑕疵として告知の必要があるとされています。
しかし、心理的瑕疵については個人差があり、各事象をどの程度嫌悪し、それが取引の判断にどの程度影響を与えるかについては異なるものです。個々の不動産取引に際し、それが買主や借主に対して告知すべき事案に該当するか否かの判断が困難なケースがあり、一定の指針の必要性が指摘されてきました。そんな中、居住用不動産において、過去に人の死が生じた場合についてのガイドラインが示されることになったということです。
ガイドラインの範囲について
まず、今回ガイドラインで告知等の対象とされているのは住居用の物件に限られ、事業用物件は対象外となっています。事業用(オフィス・店舗)は、一般の住居に比べて心理的瑕疵の重要性が低いためでしょう。
続いて、瑕疵の種類ですが、人の死に関する者に限られます。例えば、過去に葬儀場などに使われていた物件だったり、近くに暴力団事務所があったりというものは対象外になっています。
場所としては、物件内(ただし、共用部分は含む)に限られています。共用部分とは、専用使用可能なベランダなどです。逆に隣接住戸や前面道路は対象外となっています。また、過去あった建物内で事件が起きた後にその建物を解体した場合も対象外となっています。
死因は、他殺、自死、事故死のほか原因が明らかでない死亡に限られています。従って、自然死は対象外です。(ただし、特殊清掃が行われたものをのぞく)詳しくは次の章で見ていきましょう。
告知すべき事案と告知の内容について
①自然死又は日常生活の中での不慮の死 | ②他殺・自殺・事故死等 | ③①のうち、人が死亡し長期間にわたって人知れず放置されたこと等に 伴い、室内外に特殊清掃等が行われたもの | |
売買 | 告知不要 | 告知必要 | 告知必要 |
賃貸 | 告知不要 | 告知必要 ※ただし、概ね3年経過すれば告知不要 | 告知必要 ※ただし、概ね3年経過すれば告知不要 |
また、宅建業者は、①事案の発生時期・②場所・③死因(不明である場合その旨)について、買主又は借主に告知しなければなりません。
なぜ、告知義務3年間の新ルールについて
不動産取引に際し、買主・借主に対し、当該不動産において過去に生じた人の死に関する事案の全てを告げる対応を行うことによって、賃貸住宅の入居の場面において、貸主が、入居者が亡くなった場合、亡くなった理由の如何を問わずその事実を告知対象にしなければならないと思い、特に単身高齢者の入居を敬遠する傾向がある
「宅地建物取引業者による人の死に関する
心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)」より
私は、賃貸で住みたいとなった時、自然死だったとしても嫌なので告知してほしいと考えるタイプです。今回のガイドラインは、そういった超えよりも高齢者の入居拒否の現実を減らしたいというのが国土交通省の考えなのだと思います。