まだ、サブリースしてるの!?

まだ、サブリースしてるの!?

サブリースとマスターリースの違い

サブリースという言葉はよく聞きますが、マスターリースって何!?と感じるかもしれません。ここではサブリースとマスターリースの違いについてご説明します。

不動産会社が第者社へ転貸することを目的にオーナーから物件を借りることをマスターリースと言います。そして、不動産会社が第三者に貸す契約をサブリースと言います。

そして、この一連の契約全体をサブリースと呼ぶことが多いため、混乱することが多いですが、本来の用語はこのようになります。

  • マスターリース:「オーナー⇔不動産会社」の契約
  • サブリース:「不動産会社⇔第三者」の契約

サブリースの5つのデメリット

  1. 入居者の選定ができない(変な人が入居することも・・・)
  2. サブリース賃料は下がることはあっても上がらない
  3. 賃料以外の収入である「礼金」や「契約更新料」がもらえない
  4. 設備更新やリフォーム費用はオーナー負担が多い
  5. 売却時にサブリースが付いていることによって資産価値減少する場合がある

入居者の選定ができない(変な人が入居することも・・・)

不動産経営をする場合、入居者の基準は自分で決定し、管理会社と共有することによって、入居可否を判断していきます。しかし、サブリースの場合は、不動産会社(サブリース会社)に決定権がありますので、オーナーは入居者を選ぶことが出来ません

サブリース賃料は下がることはあっても上がらない

サブリース契約では賃料が保証されるわけですが、保証される賃料がいつまでも同じということはありません。契約締結時の保証金額が決まっていても、例えば契約更新時(2年や3年等)で見直しが入ることがあります。新築物件の場合は築後10年という節目の時も要注意です。

賃料以外の収入である礼金」や「契約更新料」がもらえない

不動産経営をしていると賃料以外に、「礼金」や「契約更新料」が収入となります。しかし、サブリース契約をしている場合、「礼金」や「契約更新料」は基本的には不動産会社(サブリース会社)の収入となります。当初からそのつもりで頭に入れておきましょう。

設備更新やリフォーム費用はオーナー負担が多い

サブリース契約の内容によりますが、設備更新やリフォーム費用はオーナー負担というケースが多いです。また、修繕の内容やリフォーム業者を選ぶのは不動産会社(サブリース会社)となります。

売却時にサブリースが付いていることによって資産価値減少する場合がある

不動産運用している際に、さまざまな事情で不動産を売却するということもあるでしょう。サブリース契約していることにより、賃料保証されており保有期間中の空室リスクは軽減されたとしても賃料収入は通常より低くなっています。投資用不動産を売却する際、買手はその不動産から得られる収入をあてにしますので、賃料収入が売却価格に大きく影響します。また、売却時に正当な理由がなく、サブリース契約を解除できないこともありますので、その点は売却前に確認する必要があるでしょう。

サブリース会社の収益はどこから来てるをちゃんと考えべきですね。

国土交通省「サブリース契約に関するトラブルにご注意」H30.10.26

平成30年10月26日、昨今建物所有者からアパートなどの賃貸住宅を一括して借り上げ入居者に転貸する、いわゆるサブリースにおいて、賃料減額をめぐるトラブルが多発しています。国土交通省は、金融庁及び消費者庁と連携し、最近の投資用不動産向け融資に関するトラブル等を踏まえ、サブリース契約を検討されている方及びサブリース住宅に入居する方に対する注意喚起のため、アパート等のサブリース契約に関連する注意点を改めて作成したと公表されました。

唯一サブリースを付けるしかないケース

私はサブリース反対派ですが、唯一サブリースを付けるしかないケースもあると思います。
それは、銀行融資での条件です。金融機関の担保評価は極めて保守的です。新築アパート経営、地主の有効活用にサブリースを融資条件にするということは少なくありません。借り入れすることを前提の場合仕方ないでしょう。

サブリース新法とは!?

2020年12月よりサブリース業者を規制する「サブリース新法」(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が施行されています。

内容
  • 規制の対象者:サブリース事業者、サブリース契約を勧誘する者
  • 規制される行為【誇大広告】:「定期的な家賃の見直しがあるか」「保証金が減額されることはあるか」といった詳細を表記する必要があります。
  • 規制される行為【不当な勧誘】:「絶対に損はしない」と言って勧誘するのは不当です。また、リスクも伝えなければなりません。具体的には、「家賃の減額」「契約期間中のサブリース業者からの契約解除の可能性」「不動産オーナーからの解約には正当事由が必要(借地借家法第28条)」などがあります。
  • 規制される行為【不十分な説明】:サブリース業者は、建物を一括して借り上げる賃貸借契約(マスターリース契約)の締結前に、不動産オーナーに書面で「重要事項説明」を行う必要があります。

嘘のような本当の話

かぼちゃの馬車 35年一括借り上げ

かぼちゃの馬車とは、2017年~2018年頃にあったかぼちゃの馬車という女性専用のシェアハウスを運営しているスマートデイズという運営会社が一括借り上げしていた商品です彼らの商品の特徴としては何点かあります。

  • シェアハウスの脅威御部分はリビング・ダイニング等はなく、キッチンとシャワーのみ。
  • 廊下の幅が以上に狭い。
  • 色んな工夫がされているので、新築シェアハウスで表面利回り7~8%の商品となる。
  • 35年一括借上げ

土地建物をオーナーに購入してもらい、スマートデイズが一括35年借り上げをします。オーナーに土地建物を購入してもらうため開発リスクはないわけですが、シェアハウスの立地がよくない物件だと稼働率が低くサブリースで逆ザヤになってしまいます。そして、2018年5月スマートデイズは破産手続きとなります。

また、このかぼちゃの馬車に融資をしていたのがスルガ銀行で、不正融資問題へと発展します。この話はまた別の機会にしたいと思います。

レオパレス30年間賃料保証 ~ガイアの夜明け~

レオパレスは、30年一括借り上げ保証を謳い、管理を請け負っていました。しかし、新築後10年前後で家賃の減額、一括借り上げ契約を解除するということが頻繁に起こりました。

また、2018年レオパレスは1996年~2009年に建てたアパートに関して欠陥が指摘されました。レオパレスのアパートは壁が薄いという噂は業界内ではよく聞きますが、天井裏の音漏れや延燃を防ぐ壁がなかったという事実が発覚しました。「隣の部屋がエアコンを入れると自室でもオンになる」「部屋のチャイムを鳴らしたら同じ階の住人全員が玄関ドアを開けて出てきた」というレオパレス伝説もあります。

彼らは、「施工不良」「サブリース解除問題」「契約通りに修繕を行わない」など多くの問題が生じました。当時、ガイアの夜明けでも、レオパレス問題をとりあげていました。

代表的なサブリース判例の紹介

【東京地裁H27.8.5判決】サブリース契約解除の正当事由

サブリース会社との間で契約して保証を受けていたオーナーが、自身の自宅の補修改築のために資金が必要であり、サブリースしている不動産を空き家状態で売却することを望んでいました。そこで、サブリース会社に賃貸借契約の解除と明渡しを求めた事案で正当事由を保管するものとして、50万円の立退料支払いを条件に容認された事例です。

サブリースは、不動産オーナーからの解約には正当事由が必要(借地借家法第28条)です。

【最高裁H16.11.8判決】サブリース契約で借地借家法32条が認められるか?

サブリース会社から有効活用の提案を受けて、一棟マンションを建築、サブリース契約を締結します。本件は、借地借家法32条による賃料減額請求権の適用が認められるか否かが争われた事案で、最高裁は、本件は建物賃貸借契約であることは明らかであり、同条項は強制法規だから、賃料自動増額特約や賃料保証特約があるからといって、直ちに同条項による減額請求を否定されることはないとした。そのうえで、減額請求の当否や相当賃料の判断にあたっては、これらの特約の存在は、こうへいの見地に照らして、重要な事項として十分考慮されるべきであるとした事例です。

サブリース契約には「借地借家法32条適用否定説」と「借地借家法32条適用肯定説」があります

【最高裁H15.10.21判決】住友不動産vsセンチュリータワー事件

住友不動産は、センチュリータワーが建築したビルについて、年間賃料23億1072万円で一括借上げをしていました。契約には3年ごとに自動で賃料を10%増額する特約や中途解約の禁止の特約が存在していました。

しかし、住友不動産は転貸料収入が思うように入らなかったので、センチュリータワーに減額請求を申し入れます。センチュリータワーは、賃料自動増額特約があることを理由に、未払賃料52億6899万円の支払いを求めて提訴しました。

  • 住友不動産(被告)側の主張:借地借家法32条により賃料の減額請求ができ、この規定は強制法規である。
  • センチュリ―(原告)側の主張:自動増額特約がある。賃料減額の可能性を説明していなかった。

最高裁は、住友不動産は賃料減額請求できるとした。借地借家法32条1項の規定は、強制法規であって、賃料自動増額特約によってもその適用を排除することができないものであるから、賃料自動増額特約が存するとしても、賃料増減額請求権の行使が妨げられるものではないとした。