私道の舗装に対して市区町村の補助はあるのか!?
本日は、このような疑問にお答えします。
私道の舗装に対して市区町村の補助はあるのか!?
私道の舗装状況が悪い中、行政の補助があるのか!?という本質的な疑問があります。本日は、私道の舗装に対する補助について話をしていきます。
私道の維持管理の原則
私道は、私人が所有する土地を道路として利用しているものです。その私道が事実上一般公衆の通行に使われ、公道と同じ機能を果たしていたとしても、その維持管理は、私道所有者の責任となるのが原則です。
従って、私道の舗装工事をする場合でも、その費用は原則私道所有者の負担となります。
地方自治体の補助の考え方
私道で、常に一般公衆のように供されている道路を、全くその所有者だけの負担において舗装するのは、道路の公共性からみて妥当でないという考え方があります。そこで地方自治体によって、一定の基準を設けて、私道の舗装工事に補助金を交付しているケースがあります。
市区町村が私道の舗装に補助金を交付できる根拠として、地方自治法232条2があります。
地方公共団体は、その公益上必要がある場合、寄付又は補助することができると定めています。そこで、市区町村が公益上の必要性から、私道の舗装を要すると認めた場合、私道所有者に補助金を交付することになります。
ただし、この補助金はどの市区町村にもあるというわけではありません。市区町村に財政的な負担能力がなければ不可能ということです。また、制度があっても一定の基準に合致しなければ補助金を受けることができません。補助金の制度を設けている行政は、「条例を制定している行政」と「制度を設けているだけ」の場合があります。条例の場合は、「私道整備助成条例」というような形で作られています。
【具体例】23区の私道整備助成条例は!?
東京23区の多くの区では助成金の制度を設けています。その中で、条例を設けている区をいくつか紹介したいと思います。
墨田区(墨田区私道整備助成条例)
- 助成工事対象:(1)路面舗装工事、(2)排水設備工事、(3)防犯灯工事
- 助成金の額:標準工事費の範囲内で区長が定める額(80%~100%)
江東区(江東区私道整備助成条例)
- 整備の内容:(1)簡易な舗装(2)路面の排水施設
- 助成の対象となる道路:私道整備の助成対象となる道路は、次のいずれかに該当する新設した日から20年以上を経過した私道であって、道路幅員が1.5m以上のものとする。
(1)道路の両端が公道に接しているもの
(2)道路の一端が公道又は幅員1.5メートル以上の私道に接しているもので利用戸数5戸以上のもの
(3)学校、幼稚園及び保育所又は区長の定める公共施設に通ずるもののうち区長が適当と認めたもの
- 助成金の額:助成金の額は、区長が定める標準工事費に、次に掲げる割合を乗じて得た額以内とする。10分の9~10分の10
大田区(大田区私道整備助成条例)
- 助成金の交付要件:助成金は、次に掲げる要件を満たした場合に交付する。
(1)住戸を有する2以上の建築物の各住戸の主要な出入口が整備する私道に面していること
(2)整備する私道が建設完了後、3年以上経過しているものであること
(3)助成金の交付を申請しようとする者が当該私道の所有者又は整備について権原を有する者であること
(4)私道の1路線をすべて整備すること
- 助成金の額:助成金の額は、別に定める標準工事費に、10分の9を乗じて得た額とする。
葛飾区(葛飾区私道整備助成条例)
- 助成の要件:助成の対象となる私道は、幅員が1.2m以上のもの又は葛飾区私道排水設備助成条例に基づき助成金の交付を受け排水設備を設置したものであって、次に該当するものとする。
(1)道路の両端が公道又は幅員1.2メートル以上の通り抜けできる私道に接しているもの
(2)道路の一端が公道又は幅員1.2メートル以上の私道に接しているもので、その道路の利用戸数が2戸以上のもの
- 整備の内容:助成の対象となる私道整備の内容は、(1)簡易な舗装、(2)路面の排水施設
- 助成金の額:私道整備の助成額は、予算の範囲内において、葛飾区規則で定めるものとする。100分の90~100分の95
(寄附又は補助)
第232条の2 普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。