私道への駐車は許されるのでしょうか!?

私道への駐車は許されるのでしょうか!?

かおるちゃん 疑問
かおるちゃん 疑問

本日は、こういった疑問にお答えします。

私道への駐車は許されるのでしょうか!?

駐車の態様「駐車」と「停車」「保管場所」

駐車の態様として、駐車と停車(道路交通法)と自動車の保管場所(自動車の保管場所の確保等に関する法律)が考えられます。

道路交通法の駐車とは、「①車両等が荷物待ち、客待ちその他の理由によって継続的に停止すること」又は「②車両等停止しかつ車両等の運転をするものがその車両等を離れて直ちに運転することができない状態」をいいます。イメージとしては5分を超えたものです。

これに対して、停車は「車両等が停止することで駐車以外のもので、運転者が直ちに運転できる状態」をいいます。イメージとしては5分以内です。

自動車の保管場所とは、車庫・空地など通常自動車を保管するための場所をいいます。

私道の駐車の可否

自動車による通行のうち、停車は通行の一態様であるから許されるものである。では、私道の駐車はどうでしょうか。駐車も通行の一種だとする見解もあります。しかし、駐車といっても長期間のものもあり、他人の通行を妨害していることになるから許されないものです。

駐車場の可否(駐車違反)についての判例

【判例】囲繞地通行権の事例

袋地所有者が営業上の自動車を出入りさせ、一時停車させる必要があり、囲繞地所有者も自動車の使用による便益を享受しているなどの事業があるとき、袋地所有者は幅員2.67mの囲繞地通行権を認められるべきである。それは、歩行による通行にとどまらず、自動車による通行及びその停車も含むが駐車は含まないと認めるのが相当であるとした事例です。

東京高裁昭和50年1月29日判決

【判例】通行地役権に基づく事例

地役権の内容は、通行の目的の限度において、通路土地全体を自由に使用できるものです。そうすると、車両を本件通路の土地に常に駐車させることによって、土地の一部を独占的に使用することは、この部分の通行を妨げ、本件地役権を侵害するものです。従って、地役権の効力が及ぶ幅員全部について妨害排除を請求できるとした事例です。

最高裁平成17年3月29日判決

【判例】賃貸借に基づく事例

被告(訴えられた人)は、原告(訴えた人)建物の玄関の前方に車を駐車することがあり、当該土地に駐車されることによって、原告及びその家族の通行及び居住が不便となるものである。被告に本件土地に駐車させないよう注意したが、被告らは本件土地に専用賃借権を有するとの考えのもとに右の注意に応じなかった。

被告が、本件土地に日夜、車を駐車させることは原告の賃借権の行使を妨害するものであるから、被告らはこれを撤去すべき義務がある。とした事例です。通路として使用している土地の賃借人から、同じ土地を同様に賃借している者に対する賃借権に基づく駐車禁止が認められています。

東京地裁昭和63年2月26日判決

【判例】共有持ち分(共有私道)に基づく事例

3人共有する通路部分の土地についての話です。Aが土地の一部を自己の所有する自動車の駐車場所として使用する権利があると主張したのに対するが、Aが主張する使用権は、本件土地をAが駐車場所として排他的に使用する権利であって、共有持ち分に基づく使用として許される範囲を超えていることは明らかであるとした事例です。

東京高裁平成10年2月12日判決