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正直不動産 7巻 既存不適格マンション
正直不動産では、不動産業界の歪みや不動産取引の怖い点を解説していると思います。そんな不動産の注意点・問題点について解説していきます。今回は、正直不動産の7巻で出てくる既存不適格マンションについてです。
導入:既存不適格マンションとは?
既存不適格マンションとは?
- 既存不適格マンションとは、建築当時は適法だったものの、その後の法改正によって現在の建築基準法に適合しなくなったマンションを指す。
- 違法建築とは異なり、既存の権利が保護されるが、建て替えや改修に制約があるなどのリスクが存在する。
- この記事では、既存不適格マンションの問題点やリスク、対策について詳しく解説する。
【原因】既存不適格マンションが生じる原因
建築基準法や条例の改正により、過去に適法だった建物が現在の基準を満たさなくなるケースです。
代表例
- 容積率・建ぺい率の変更(例:規制強化により延床面積が基準超過)
- 耐震基準の変更(1981年の新耐震基準導入後、旧耐震基準の建物は不適格となる)
- 用途地域の変更(住居専用地域に変更され、商業施設が併設不可になる)
- 高さ制限の強化(景観条例などにより建物高さが規制される)
【問題点】既存不適格マンションの主な問題点
- 建替えが難しい:現在の規制では同じ規模の建物が建てられない可能性があります。例えば、容積率が改正後に引き下げられていると、現在の建物より小さいものしか再建築できません。区分所有者の合意形成が難しく、建て替えが進まないケースが多いです。
- 大規模修繕に制約がある。:一部の修繕や改修では「既存不適格部分の変更禁止」が適用されることがあります。例えば、階段やエレベーターの位置変更が不可能な場合があります。
- 売却時の資産価値の低下:既存不適格マンションは、将来的な建て替えリスクがあるため資産価値が下がりやすいです。買い手がつきにくく、売却価格が相場より安くなることも当然ありえます。金融機関によっては、住宅ローンの融資が難しくなるケースもあります。
- ローンの制限:金融機関の審査が厳しくなるため、買主が住宅ローンを組めない可能性があります。
既存不適格マンションの対策
- マンションの管理組合で情報共有を徹底する:マンションの場合は、住民間で既存不適格のリスクを共有し、修繕計画や将来の建て替えについて合意形成を進める。
- 売却を検討する場合は不動産会社に相談:資産価値の下落リスクを考慮し、早めの売却を検討するのも一つの選択肢です。既存不適格マンションの取り扱いに詳しい不動産会社に相談するのが望ましい。