はじめに
2018年7月に田園調布に訪れました。現在の田園調布について記事を書いていきたいと思います。
田園調布の歴史
田園調布駅の駅前の噴水広場にある看板です。田園調布の歴史が書かれています。
この広場を中心とする凡そ八十万平米の地域は、明治文化の先駆者渋沢栄一翁が、我国将来の国民生活の改善の為に、当時漸く英米に現われ始めた「田園都市」に着目して都会と田園との長所を兼ねた模範的住宅を実現させようと念願して、既にあらゆる公的関係から退かれた後であるにも関らず自ら老躯を運んで親しく土地を選定された所であります。
その目的の為に大正七年、田園都市株式会社が創設されて、翁の理想に共感する人々に土地の分譲を行ない、我国最初の近代的大計画市が実現しました。そして居住者による社団法人が生まれました。
この都市全体を一つの公園のように明るく美しいものにする為、建築その他に関し色々な申し合せを固く守り殊に道路との境界には一切土塀板塀などを設けず、花壇か生け垣の低いものの程度にすることなどを、厳格に実行しました。その協力の結果、この明るい住宅地と楽しい散策地が生まれたのであります。
大正十一年には同社の姉妹会社として目黒蒲田電鉄が創立され大正二年三月、当時荏原郡調布村であった当地に調布という駅が設けられ間もなく田園調布という駅名に改められました。その後この地区が東京市に編入された際、町名改正がおこなせれて当都市のみならず周辺の町村をもひろく含めて田園調布と呼ぶこととなりました。その折当会の地域は頭初の田園都市の焼く三分の二となり、他の三分の一は、世田谷区玉川田園調布となりました。
ここに明るく住む方々も、ここを来し訪れる方々も、渋沢翁が永くここに栄えてゆくようにこの田園都市を愛護して下さるようお願い致します。
昭和三十四年秋
社団法人 田園調布会 会長 矢野一郎
扇状の高級住宅地「田園調布3丁目」
田園調布は最も有名な高級住宅地は、田園調布3丁目です。田園調布駅西側に広がる扇状の街路付近の大田区田園調布3丁目、4丁目の一部を中心とした地域をさします。このエリアは、いわゆる豪邸と言われる住宅が立ち並んでいます。石原新太郎、長嶋茂雄、鳩山由紀夫など数々の著名人も住んでいる地域です。
現地見学に行く
2018年7月に田園調布に行ってみました。田園調布に電車で行く場合は、東急東横線・東急目黒線が乗り入れています。私は、東京都在住のため、自転車で行きました。田園調布3丁目は、高級住宅街で1画地が広いことやマンション等がないこともあり、通常の住宅街より住んでいる人数は少ないでしょう。そのため、店舗等のお店が少ないのが特徴です。
田園調布駅の旧駅舎。
田園調布駅です。
田園調布駅西側の風景です。落ち着いた空間になっています。
道路は、樹木が多く緑豊かです。
田園調布3丁目の扇状のエリアを自転車を押しながら歩いてみました。閑静な住宅街といわれるのがわかります。自分の足音くらいしか音がしません。
また、緑が多いです。駅前看板に「 境界には一切土塀板塀などを設けず、花壇か生け垣の低いものの程度にする」とあったように花壇や樹木が多いことが伺えました。10年ほど前、田園調布に仕事でよく来ていましたが、街並みは変わらないことが分かりました。
一般社団法人田園調布会
田園調布海は、街並みの維持と住む人々の心のふれあいを大切にするために、昭和57年「田園調布憲章」を制定し、これを守るように住民みんなで努力しています。
また、大田区は、田園調布会が制定した「田園調布憲章」及び「環境保全についての申し合わせ」に基づき、「田園調布地区地区計画」を施行しています。いくつか代表的な具体例を挙げてみます。
- 長屋・共同住宅で4階を超えるもの
- 建築物の敷地面積の最低限度 165㎡
- 建築物等の高さの最高限度 9m
- 環境緑地内の緑化は、樹木によるものとし、敷地の接道長の1/2を超える部分を緑化し、かつ接道長さ1mにつき1㎡以上の植栽を施するものとする
田園調布の価格の推移
路線価は、道路に面する路線の宅地1㎡あたりの評価額を表しています。上記は、平成30年度の相続税路線価で920,000円/㎡となります。坪単価約310万円になります。
田園調布3丁目の価格帯は、坪単価300万円前後でしょう。路線価の変動を見てみますと、平成25年を底に、平成30年まで年々価格が上昇してきています。最近の不動産市況を見ると高値止まりの状況です。田園調布も同様の動きをしていると思われます。
田園調布の街区案内図。