ニューシティ・レジデンスの概要
ニューシティ・レジデンス投資法人は、2004年9月に設立されたJREITの一つでした。運用会社はシービーアールイー・レジデンシャル・マネジメント(CRE系)で、都内のレジデンシャル(賃貸住宅)をメインに資産運用をしていました。
その後、サブプライム問題に端を発した金融不安などで、不動産業界は大きな影響を受けます。ニューシティ・レジデンスも新規融資や市場からの資金調達が上手くいかなくなりました。そして、2008年10月民事再生の手続きを申請します。JREITで初めての経営破綻撮りました。負債総額は1123億6500万円、同年11月10日に上場廃止となります。
ニューシティ・レジデンス破綻の原因
ニューシティ・レジデンス池袋プレシャスタワー
ニューシティ・レジデンスの破綻の原因は、「ニューシティ・レジデンス池袋プレシャスタワー」について、資金調達ができなかったためと言われています。
当時、ニューシティ・レジデンス投資法人の資産規模は約1700億であり、ニューシティ・レジデンス池袋プレシャスタワーは約277億でした。ニューシティ・レジデンスにとっては、規模が大きく、資産規模に占める割合としても大きいものでした。
通常、JREITが物件取得する際の資金調達の方法は2つです。①ローンによる資金調達②公募増資による資金調達です。しかし、この時期はリーマンショック直後であり、不動産マーケット環境が急激に締め付けられていて、どちらの方法も厳しかったようです。結果、本物件を決済引渡を受けることができず契約不履行で約55億(計算すると物件価格の20%が違約金だったのでしょう)が発生し破綻につながったということです。
フォワードコミットとは、契約日より取引日が先になる契約のことをいいます。現在、JREITの場合、契約日から1ヶ月を超えて取引日となる場合はリスク開示が必要となります。
REIT上場廃止
- 2008年10月:民事再生法申請
- 2008年11月:上場廃止(JREIT初の破綻で上場廃止)
- 2009年11月:ビ・ライフ投資法人と合併
ニューシティ・レジデンス投資法人は2008年11月に上場廃止となりました。この時点ではJREIT発の上場廃止でリートも潰れるのかと感じたことを覚えています。リーマンショック時には不動産ファンドの倒産も多くありましたが、日本のREIT史に残る出来事でしょう。
また、個人が買う住宅~ファンドが買う大型投資物件とわず、不動産売買に借入れは密接にかかわってくるため、どうしても影響を受けやすく、どんな場面であっても借入には注視する必要があると考えさせる出来事だったと思います。