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正直不動産から学ぶ11巻 ~契約不適合責任とは?~
正直不動産では、不動産業界の歪みや不動産取引の怖い点を解説していると思います。そんな不動産の注意点・問題点について解説していきます。今回は、正直不動産の11巻で出てくる契約不適合責任についてです。
不動産の売買物件で「契約不適合責任は免責とする」という文言を見かけることがあります。
これは、売主が物件の不具合について責任を負わないという重要な条項です。
「買ってすぐ雨漏りがあったら?」「シロアリがいたら誰の責任?」など、購入後のトラブル回避のためにも、この免責条項の意味とリスクを理解することが大切です。
目次:契約不適合責任について
- 契約不適合責任とは?
- 「免責」とはどういう意味か?
- 免責条項の注意点
- 契約不適合のトラブル例
- 免責でも安心できる対処法
- まとめ:中古住宅購入では「免責」のリスクを把握しよう
契約不適合責任とは?
契約不適合責任とは、引き渡された物件が、契約内容に適合していない場合に売主が負う法的責任のことです(民法第562条~)。例えば以下のようなケースが対象です。
契約不適合責任の例 | 内容 |
雨漏りやシロアリ被害 | 見えない構造内部の瑕疵 |
排水・給水設備の故障 | 見えないライフラインの瑕疵 |
境界トラブルや越境 | 隣地との境界にトラブルがある。 面積が異なる。越境がある。 |
地中埋設物・土壌汚染 | 土地の地中内に瑕疵がある |
「免責」とはどういう意味か?
契約不適合責任の「免責」とは、売主がこれらの不具合に関して一切責任を負わないという特約です。
✅ 免責条項があると…
- 購入後に不具合が見つかっても「売主に請求できない」
- 原則として買主の自己責任で対応しなければならない
この免責は、特に個人が売主の中古住宅取引、任意売却物件などに多く見られます。宅建業者が売主の場合は、免責できない期間が法律で定められています(2年以上の責任を負う必要あり)。
契約不適合責任免責条項の注意点
買主にとってのリスク
- 隠れた瑕疵があっても補修・損害賠償を求められない
- 重大な欠陥に気づくのが引渡し後になる可能性
売主にとっての注意点
- 免責でも「知っていた瑕疵を隠していた場合」は責任を問われる(=説明義務違反)
「売主は、本物件に関して契約不適合責任を一切負わないものとする」→ この一文がある場合、購入後の不具合はすべて買主負担です。
トラブル事例|免責でも訴訟に発展したケース
- 引渡し後すぐに雨漏りが発覚したケース
- 売主がシロアリ被害を把握していたのに告知していなかった(隠していた)
- 地中埋設物で浄化槽がでてきた(売主が埋めたことを告知せず)
- 隣地との境界トラブルを告知せずに売買した
「免責でも安心できる」対処法5選
- 事前に専門家によるホームインスペクションを実施:→ 第三者の建築士により、物件の不具合リスクを確認できます。
- 重要事項説明をしっかり読み、質問する:売主や仲介業者に確認し、不安な点は事前に洗い出しましょう。
- 瑕疵保険付き物件を選ぶ→ 保険で補修費用の一部をカバーできるものもある。
- 売主に物件状況の告知書を提出させる:売主の「知らなかった」では済まされない証拠になります。
- 契約書の免責内容を明確にする:曖昧な免責条項はトラブルのもと。具体的な範囲を明記してもらいましょう。
まとめ|「契約不適合責任の免責」は理解と対策がカギ
契約不適合責任の免責は、取引における大きなリスク要因です。しかし、事前の情報収集と確認作業を怠らなければ、安心して購入することは可能でしょう。