5棟10室。事業的規模の5つのメリットとは?

事業的規模とは?

オーナーの所得である不動産所得は、事業的規模に該当するかどうかで所得計算の取り扱いが変わってきます。

事業的規模とは、定義づけが明確にはされていませんが、「5棟10室基準」によって判断されます。これは、形式的な基準であって、絶対的なものではありません。それでは、事業的規模とは具体的にどのような場合に該当するのか、該当した場合、どのようなメリットがあるのかを見ていきたいと思っています。

事業的規模の根拠は?

所基通26-9(所得税基本通達)には、次のように記載されています。

建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定。

26-9 建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべきであるが、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合又は賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がない限り、事業として行われているものとする。

(1) 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。

(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

事業的規模の5つのメリットは?

不動産所得が事業的規模と認められる場合、確定申告で次にあげる5つのメリットを利用することが可能です。

青色申告特別控除65万円が利用

不動産所得が事業的規模と認められる場合、65万円の青色申告特別控除を受けることができます。青色申告の届け出を行っている場合、必要経費を差し引いた不動産所得から、65万円を差し引くことができるものです。事業的規模と認められない場合には、青色申告だとしても10万円の特別控除しか利用することができません。

事業専従者給与の経費を参入可能

事業的規模と認められる場合、青色申告では配偶者や子供などの家族への給与を「青色事業専従者給与」として、経費控除することができます。

給与には、上限が定められていませんが、勤務実態や仕事内容から妥当性があるとされる金額までとなります。

賃料等の回収不能による貸倒損失を必要経費にできる

事業的規模と認められる場合、賃料等が回収不能となった場合、回収不能となった年に必要経費として参入することが可能です。

業務用資産の取壊しなどの損失を全額経費算入可能

事業的規模と認められる場合、取壊しなどによる損失を全額経費に計上し、当該年度の所得から引ききれない場合には、3年間の繰り越しが可能です。

延納に係る利子税で不動産所得対応分が経費算入可能

延納に係る利子税で不動産所得対応分が経費算入可能となります。

事業的規模のデメリットは?

不動産所得が事業的規模になると、多くの場合、事業税がかかってしまうことがデメリットとしてあげられます。通常、5棟10室基準を満たせば事業税がかかってきます。

これは、290万円(青色申告特別控除前)を超える金額に対して、5%の個人事業税が課税されます。

事業的規模に当たるかの具体例について

駐車場の場合は?

駐車場については、明確な規定はありません。ただ、考え方としては建物と同様の考え方をします。形式基準は建物の場合を参考にして、駐車場は5台を1室と判定します。つまり駐車場だけで事業的規模を満たそうとする場合は、50台が必要となります。

貸家の場合は?

続いて、貸家の場合はどうでしょう。貸家の場合は、5棟以上となります。つまり、1棟をアパート2室として計算していきます。

おおむねってどういうこと?

 所基通26-9(所得税基本通達)には、下記のような記載があります。おおむねとは、どういうことでしょう。

(1) 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。

(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

これは、5棟10室以上でないと一切ダメというわけではありません。個別具体的な要件は、税理士・税務署に確認してみましょう。

持ち分共有である場合は?

例えば、アパートなどを共有名義で所有している場合には、持ち分の規模による判断ではなく、共有物件全体の規模の判断になります。

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