固定資産税精算 消費税がかかるってどういうこと!?

固定資産税とは?

 一般的に、不動産取引で話される固定資産税には、「固定資産税」と「都市計画税」があります。そのため、正確には、「都市計画税等」ということになります。

「固定資産税」とは、土地・家屋・償却資産に対し、これら固定資産の所在市町村が所有者に対して課す市町村税です。

「都市計画税」とは、市町村が都市計画事業等の費用にあたるため、都市計画区域内にある土地・家屋に対して、その所有者に課す目的税としての市町村税です。

 固定資産税等の精算

固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に課税されます。
例えば、所有者AさんからBさんに、平成29年9月1日に投資用不動産を売買したとします。このケースですと、平成29年度の固定資産税の支払いは、あくまでAさんになります。Bさんは、今後投資用不動産を所有し続けるなら平成30年度から固定資産税の支払いが生じます。

しかし、Aさんからしてみると平成29年8月末までしか実際に投資用不動産を所有していなかったのに、1年分払うのはおかしな話です。そこで、AさんとBさんの当事者間で、日割り計算に基づいて精算するのが不動産取引の慣行となっています。(※実際には、決済引渡時に清算する)
例えば平成29年度の固定資産税が300,000円だった場合、Aさんが所有していた期間は、8ヶ月/12ヶ月です。従って、Aさんの負担が200,000円でBさんの負担が100,000円となります。平成29年度の固定資産税はAさんが納付しますので、Bさんは、投資用不動産を購入した日に10万円をAさんに支払うことで精算を行います。

 固定資産税精算金に消費税がかかる!?

売主が課税事業者である場合、建物の固定資産税の精算金については、私人間で行う利益調整のための金銭の授受であるため、不動産の譲渡対価の一部を構成するものと解釈されています。従って、建物の固定資産税精算金には、消費税が課税されます。

消費税法基本通達10-1-6

10-1-6 固定資産税、自動車税等(以下10-1-6において「固定資産税等」という。)の課税の対象となる資産の譲渡に伴い、当該資産に対して課された固定資産税等について譲渡の時において未経過分がある場合で、その未経過分に相当する金額を当該資産の譲渡について収受する金額とは別に収受している場合であっても、当該未経過分に相当する金額は当該資産の譲渡の金額に含まれるのであるから留意する。

(注) 資産の譲渡を受けた者に対して課されるべき固定資産税等が、当該資産の名義変更をしなかったこと等により当該資産の譲渡をした事業者に対して課された場合において、当該事業者が当該譲渡を受けた者から当該固定資産税等に相当する金額を収受するときには、当該金額は資産の譲渡等の対価に該当しないのであるから留意する。

 第1節 課税資産の譲渡等|消費税法基本通達|国税庁

未経過固定資産税等の取扱い

未経過固定資産税等の取扱い|消費税目次一覧|国税庁

精算の基準日は!?関東方式と関西方式とは?

上記の通り、固定資産税は、その年の1月1日の所有者に課税されます。つまり年の途中で売買をした場合、固定資産税の清算が必要となるわけですが、清算の基準日が関東地域と関西地域では異なります。

これはあくまで慣行の一つです。関東圏では固定資産税の清算の基準日を1月1日とします。しかし、関西圏では4月1日とするのが一般的です。
 ■関東:1月1日~12月31日
 ■関西:4月1日~翌年3月1日

例えば、売主様が関東圏の方、買主様が関西圏の方の場合は、清算日基準日をいつにするか注意が必要です。