もくじ
私は買わない!私道物件
私は、私道物件を買いません。私道は、公道物件と異なり、多くの問題が内在しています。その問題点をしっかりと把握することが必要です。「私は買わない!私道物件」は、独自のコラムとして、全5回で説明していきたいと思います。
公道と私道
道路は、公道と私道に分けることができます。明確な定義ではありませんが、
「公道」とは、建築基準法上の道路であって、国・地方公共団体が所有権を有しており、かつ維持・管理等について公が行っているものをいいます。
これに対して、「私道」とは、建築基準法上の道路で上記公道以外のものをいいます。従って、私人が自らの費用負担で築造し、維持・管理も私人が行っているものは私道となります。
建築基準法の道路の種類
建築基準法は、道路を基準として、敷地の接道義務、建築制限、容積率の算定基準などを定めています。道路を規準とした制限を設けているのは、防災活動や避難活動の手段となり、日照などの確保からも重要な役割を果たしているからです。
建築基準法上の道路は、幅員が4m以上あることを原則としていますが、建築基準法の道路の種類は次のようなものがあります。
2項道路とは何か?
建築基準法上の道路は、幅員4m以上の道路をいうのが原則ですが、現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道路で特定行政庁の指定したものは、救済措置として建築基準法上の道路とみなすことになっています。
この場合、道路の中心線から左右互いに2mずつ交代した線を道路の境界線とみなすことにしています。将来の建築物については、境界線とみなされる部分まで建築制限を受けることになるので、建築物が増築新築する場合4m幅の道路が確保される状態となります。
私道の維持・管理
私道の維持・管理
私道は、個人が所有する土地を道路として利用しているものです。私道が公衆の通行の用に供されて、公道と同じ機能を果たしていた場合でも、維持及び管理は、私道所有者の責任となります。そのため、私道の舗装工事をする場合にも、その経費は原則的には私道所有者の負担となります。
地方自治体の補助
公衆の通行の用に供されている道路を、私道所有者だけの負担において舗装するのは、公共性からみて妥当なものではありません。そのため、地方自治体は、一定の基準を設けて、私道の舗装工事に補助金を交付していることがあります。
市町村が公益上、私道の舗装を要すると認めた場合は、私道所有者に補助金を交付することになります。しかし、助成金は市町村が負担しますので、市町村に財政的な余裕がないとできません。また、一定の基準があります。例えば、東京都新宿区では、下記のような助成制度があります。
私道に税金が課されない場合
私道に税金が課されない場合
私道は、登記簿謄本では地目が公衆用道路ではなく宅地などになっていることが多いです。土地が道路となっており、不特定多数の人々が通行しているのに、地目が宅地である場合、そのままでは私道所有者に宅地として固定資産税が課税されていることとなります。
公共の用に供する道路は、非課税となります。(地方税法348条2項5号)公共の用に供される道路が非課税となるのは、その用途に公共性があるためです。そのため、非課税となるには、原則道路法上の公道ですが、一般に解放され不特定多数の利用に供されていれば、私道も含まれます。例えば、ある公道から別の公道を繋ぐ私道は、公共の用に供する道路にあたるとされます。
固定資産税の評価決定に対する不服申立て
固定資産税の評価決定に不服のあるものは、市町村に設置されている固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができます。私道敷に関する固定資産税の非課税適用の有無に関する不服も同委員会に審査申し立てができると解されます。
私道を公道にするには!?
私道を公道(主に市町村道)にする場合には、その私道の所有者は道路認定申請を市町村長にします。市町村長は、申請があると、その申請が市町村の定める道路認定基準に合致するかどうかを実地調査します。道路認定基準は、市町村が独自に定めるものですが、私道を市町村道にすると、その後は市町村が道路を管理することになり、財政負担もかかりますから、その基準は厳しいものとなります。
- 道幅が4.0メートル以上であること
- 私道所有者全員が区への寄付を承諾すること
- 公道から公道に接続していること
- 私道と隣接地との境界が明確であること
- 道路の角地には一定の隅切りがあること
- 側溝・街渠等排水設備があること
- 道路の形態をなし道路構造など良好であること
上記のように基準があり、必ずしも公道に編入されるというわけではありません。編入されなかった結果将来予期せぬ事態が起こるということもあります。その内容は、「私は買わない!私道物件」5話目に解説していきたいと思います。