ウォンテッドリーが受取った立退料はいくら!?
都市部の再開発に伴い、企業が支払う「立退料(協力金)」は一時的かつ巨額になるケースが散見されます。今回は、野村不動産がスタートアップ企業・ウォンテッドリーに支払った立退料について詳しく見ていきましょう。
野村不動産がウォンテッドリー本社ビルの移転にあたって支払った「明渡協力金」は、約15億5000万円と報じられています
なぜ15.5億円の協力金が支払われたのか?
東京都心の一等地での再開発は、テナントの円滑な退去を図るために多額の協力金を設定するのが「暗黙のルール」といえるでしょう。野村不動産が取得した物件も、再開発による再構築が目的だったと見られ、この協力金は戦略的な支出と位置づけられます。見方によっては、多額の協力金の支払いがないと立退きが難しいということもいえるでしょう。
ウォンテッドリーはどのように利益を計上したのか?
ウォンテッドリー側は、この巨額な立退料を 特別利益として決算上に計上したと報じられており、会計的にもインパクトの大きい処理となりました。
1. 事実の概要
本社ビルの建物賃貸借契約において、賃貸人である野村不動産株式会社から建物賃貸借契約の解約の申し入れがあり、当社と賃貸人との間で協議を行った結果、建物賃貸借契約の解約に合意し、本社の移転を決定いたしました。移転先と移転時期は未定ですが、今後公表すべき事実が発生した場合には必要に応じて速やかにお知らせいたします。
2. 決定の理由
当社と賃貸人との間で建物賃貸借契約の解約に合意したことによるものです。ウォンテッドリー 2024年10月11日「本社移転及び特別損益の計上に関するお知らせ」より
3. 業績に与える影響
建物賃貸借契約の解約合意書の締結に伴い、明渡協力金等の発生により、特別利益として、2025年8月期において 73 百万円、2026 年8月期において 1,550 百万円を計上する見込みです。また、本社移転に係るアドバイザリー報酬の発生に伴い、特別損失として、2025 年8月期において 55 百万円を計上する見込みです。
なお、当該影響については 2024 年 10 月 11 日に公表した 2025 年8月期の連結業績予想に織り込み済みです
この多額の立退料についてもびっくりですが、アドバイザリー報酬による5500万円の特別損失についてもインパクトの大きい金額かと思います。
まとめと今後の視点
都市再開発の鍵となるのは、不動産の権利関係や企業間交渉です。今回のウォンテッドリーへの立退料は 約15.5億円であり、再開発という文脈の中で双方にとって重要な意味を持つ事例です。
今後類似事例が増えた際には、再開発戦略や会計処理の側面からも、注目していく価値があります。