指定容積率・基準容積率の違い!

指定容積率と基準容積率の違いは?

そもそも容積率とは何か確認しよう

今回は、指定容積率と基準容積率の違いについて話をします。まず、基礎的な容積率について簡単に復習をしておきます。

容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のことをいいます。(建築基準法52条)建築基準法では、原則として指定容積率を上回る延べ床面積の建物を建てることはできません。

指定容積率とは?

指定容積率とは、都市計画法で”指定”されている容積率を「指定容積率といいます。指定容積率は、都市計画法で定められていますので、役所で調査をする際は、都市計画課などの担当窓口で確認することになります。

基準容積率とは?

基準容積率とは、建築”基準”法制限される容積率を「基準容積率」といいます。基準容積率は、建築基準法で制限されるものですので、都市計画課では教えてもらえません。たいていは、建築指導課などの担当窓口で確認することになります。

建築基準法で制限されるとは、具体的にどのようなことでしょうか。見てみましょう。

前面道路の幅員による容積率の制限(建基法第52条2項)

前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、用途地域によって定められた掛け目を前面道路の幅員(m)に乗じた数字以下でなければなりません。

「この用途市域によって定められた掛け目」を専門用語では容積率低減係数(ようせきりつていげんけいすう)といいます。

用途地域前面道路の幅員による容積率の限度
第一種・第二種低層住居専用地域前面道路の幅員(m)×0.4
第一種・第二種中高層住居専用地域
第一種・第二種住居地域
準住居地域
前面道路の幅員(m)×0.4
※ただし、地域によって0.4か0.6
の場合があります。
上記以外の地域前面道路の幅員(m)×0.6
※ただし、地域によって0.4または0.8
の場合があります。

具体的な事例で指定容積率と基準容積率を見てみよう

ケース1:前面道路幅員で異なる指定容積率と基準容積率

上記のように、前面道路幅員によって容積率が異なることになります。また、その土地に採用される容積率は指定容積率基準容積率のいずれか数値の低い方が採用されます。

そのため、上記左図の場合は、「指定容積率300%」「基準容積率160%」のため、基準容積率の方が低いため、基準容積率160%が採用されます。上記右図の場合は、「指定容積率300%」「基準容積率320%」のため、指定容積率の方が低いため、指定容積率の300%が採用されることになります。

容積率は、前面道路の調査が重要です。前面道路幅員については、役所での道路台帳などの認定幅員、現況幅員の確認と必ず現地に行って、メジャーで現況幅員を図るようにしましょう。

道路幅員を図る際は、通常のメジャーよりもカウントメジャー(通称:コロコロ)を使うと便利でしょう。

ケース2:容積消化が出来ない場合の実行容積率

容積率で注意しないといけないのは、指定容積率と基準容積率だけではありません。例えば、指定容積率が200%のエリアで、道路幅員から基準容積率が160%だったとします。この場合、採用されるのは基準容積率の160%ですが、これはあくまで容積率の上限ということにすぎません。

その他に、道路斜線制限、隣地斜線制限、高度地域、日影規制などの規制もあるため、土地の形状やこれから要因で実際に消化できる実行容積率は異なります。このケースでいうと、指定容積率200%・基準容積率160%・実行容積率が135%といったこともよくあります。