債務免除を受ける場合の注意点

債務免除とは?

債務免除とは?

債務免除とは、債権者がその権利を放棄することで債務者の債務が免除されることを債務免除といいます。
わかりやすく具体的な例で考えてみましょう。住宅ローンで毎月の返済が厳しくなったAさんは、B銀行と相談して、自宅を任意売却で手放す決断をします。残債が2600万円、任意売却で銀行に返済できるのは2500万円、不動産売却した後、残り100万円をどうするかとなった時に、B銀行が「債務を免除しますよ」とする場合があります。

  • ここで一つ疑問が出てきます。なぜ債務免除をするのでしょうか!?
なぜ債務免除をするのでしょうか!?

回収できない債権をもっていたとして、その債権は資産として計上されてしまい課税の対象となるためです。そのため、税務上の対策として損金算入して債権を放棄するというのが債権者側でメリットが生じる場合があります。

債務免除の要件と方法

債務免除をする場合の要件はなんでしょうか。債権者が債務者に対して「債務を免除します」という意思表示によって債務免除されることになります。債務者側に債務免除にあたって要件があるというわけではありません。

民法519条:債権者が債務者に対し債務を免除する意思を表示したときはその債権は消滅する

では、次に債務免除の方法はどのようになるのでしょうか。債務免除は一方的な意思表示で効力を生じます。そのため、債務者の承諾は必要ありません。また、意思表示は口頭でもよいのですが、債権者が債務免除の意思表示をしたことを証明するために書面(内容証明郵便)にて行われるのが一般的です。

債務者に対する債務免除の事実は書面により明らかにされていれば足ります。この場合、必ずしも公正証書等の公証力のある書面によることを要しませんが、書面の交付の事実を明らかにするためには、債務者から受領書を受け取るか、内容証明郵便等により交付することが望ましいと考えられます。

国税庁「第三者に対して債務免除を行った場合の貸倒れ」HPより

債務免除 債権放棄 違い

債権者が、債務者の承諾がなくとも、債務者に対する一方的な意思表示によって債権を無償で消滅させることを債権放棄といいます。この債権者が債権放棄することによって、債務者は債務免除される形となります。そのため、債務免除は債務者側の話、債権放棄は債権者側の話というのが違う点になります。

  • 債権者:債権放棄
  • 債務者:債務免除

債務者からみる債務免除のメリット・デメリット

ここでは、債務者からみた場合の債務免除のメリット・デメリットについて話をしていきたいと思います。

債務免除のメリット

債務者からの債務免除のメリットは、債務が無くなることです。シンプルですが、これに尽きます。

債務免除のデメリット

債務者から見た債務免除のデメリットですが、デメリットというか注意点・リスクがあります。債務者が債務免除を受けた場合、その金額だけ贈与を受けたことになるため、利益が出たものとみなし債務免除益が生じます。債務免除益がある場合、その金額に課税されるということです。

債務者が資力を喪失して弁済することが困難な場合は課税しない旨の規定があります(所得税法基本通達36-17)

個別具体的な事例は、税理士もしくは最寄りの税務署に事前に確認することをお勧めします。