正直不動産から学ぶ22巻 ~督促手数料とは?~

賃料滞納における「督促手数料」とは?

賃貸物件の入居者が賃料を滞納した場合、管理会社やオーナーが請求書の再発行や電話・書面での督促を行うことがあります。この際に請求されるのが「督促手数料」です。
しかし、この督促手数料は 法律上、必ずしも有効とは限らない ため注意が必要です。

督促手数料は支払い義務があるのか?

結論から言うと、督促手数料は契約内容に明記されていなければ原則として支払い義務はありません
民法や借地借家法では「賃料の支払い義務」は規定されていますが、「督促にかかる費用の負担」までは認められていません。

ポイント

  • 貸借契約書に「督促手数料○○円を請求できる」との記載があれば有効になる可能性あり
  • 記載がない場合は原則として無効
  • 消費者契約法により「不当に高額な手数料」は無効と判断されることがある

賃料滞納を防ぐための対策

オーナー側・入居者側それぞれに対策があります。

入居者側

  • 口座振替やクレジットカード払いを利用する:支払い忘れを防止
  • 滞納が発生しそうなときは事前に連絡:誠意を示すことでトラブル回避
  • 督促手数料の有効性を確認する:契約書をチェック
オーナー・管理会社側

  • 契約書に明記する:督促手数料を設定する場合は具体的に記載
  • 滞納保証サービスを利用:家賃保証会社を活用
  • 過度な請求は避ける:不当請求は法的リスクにつながる

実際の判例/訴訟例

催促手数料条項に関する判例として、賃貸契約書に「賃料を滞納した場合、催告手数料(通信費・交通費・事務手数料)として1回あたり3,150円を支払う」という条項がありました。

この条項が民法第416・415条、消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)に照らして有効かという判断が争われているという訴状があり、事案が具体的に争われている例として注目されています。

裁判例からわかることとしては、契約書の条項が明確であるかが重要。滞納時の手数料や督促費用を請求する旨の条項が契約に明記されていなければ、請求の根拠は弱くなる。消費者契約法の規定がしばしば問題になる。特に「消費者の利益を一方的に害する条項」(第10条)や、「過大な損害賠償額の予定又は違約金を定める条項」(第9条第2号)に抵触するかどうかがチェックされます。

まとめ

  • 賃料滞納時の「督促手数料」は契約に明記されていない限り、支払い義務は原則はない。
  • 明記があっても高額すぎる場合は無効になる可能性あり。
  • 入居者は契約内容を確認し、オーナー側はトラブルを避けるため明文化することが重要。