もくじ
前回の消費増税の際は、どうだったのか?
こんにちは。今回は、消費増税した際、住宅購入にどのような影響が出るのかということについてお話していきたいと思います。
日本に初めて消費税が導入されたのは、1989年4月で当時の消費税率は3%でした。その後、1997年4月に5%に増税され、2014年4月消費税が8%に引き上げられました。こと時、既に私は不動産業界で仕事をしていたわけですが、消費増税前に駆け込み需要があり、消費増税後に不動産市況は下落に転じていました。
さて、消費増税が予定されている2019年10月の前後は、どのように影響が出ていくのでしょうか!?
現在のマンションの相場は?
不動産経済研究所が発表した、2019年4月の新築マンション販売戸数は前年同月比39.3%減の1421戸でした。これは、4ヶ月連続の減少で、4月の戸数としては、1992年以来27年ぶりの少なさでした。
ここ数年間上昇が続いていた新築マンションの価格が天井まで来て、その後横ばいで推移していたものの、高く上がりすぎた価格帯に、消費者がついていけない状況が鮮明に出てきています。
デベロッパーは、現在も土地を高値で取得していますので、今後数年間は供給側であるデベロッパーが提供する新築マンションの売出価格は、なかなか下がりずらいでしょう。そうなると、新築マンションの契約率が今以上に下がってきて、ズルズル不動産価格は下落していくものと思われます。
4月の首都圏マンション発売戸数、39.3%減 4月として92年以来の低水準: 日本経済新聞 https://t.co/4H9sPjLzVi
— ブローカー 2.0 (@broker_co_jp) 2019年5月22日
消費税が8%から10%に増税で、影響はどこにでるのか?
消費税が8%から10%に増税された時に、影響が出る大きなものとしては、売買価格と仲介手数料の2点です。
売買価格
不動産を購入する際に消費税が課税されるのは、売買価格のうち建物にかかる価格になります。土地については、消費税は課税されません。具体例で見ていきましょう。
- 売買価格5300万円
- 土地価格2000万円
- 建物価格3000万円
- 消費税300万円(消費税10%の場合)
なお、建物消費税が課税される場合は、新築物件だけではありません。中古物件でも売主が課税事業者の場合は、消費税が課税されます。個人が自己使用目的で所有している不動産の場合は、原則非課税となります。
ちなみに、消費税等が8%の場合は、上記の例で言うと240万円のため、消費税等が10%の場合と比較すると、60万円も金額が変わってくることになります。
仲介手数料
不動産を購入する際には、基本的に不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。仲介手数料がない場合は、新築物件を売主である不動産会社から直接購入する場合などがあります。具体例で見ていきましょう。
- 5000万円(税抜)×3%+6万円+消費税等10%=171.6万円
消費税が8%の場合は、上記の例で言うと168.48万円のため、消費税等が10%の場合と比較すると、3万1200円金額が上がることになります。
このように、消費税等が増税前か後かで売買価格と仲介手数料で数十万円の価格が変わってきます。購入者から見ると負担は大きいです。そのため、国は一定の要件のもと家計の負担を軽減できる制度を設けています。
住宅ローン減税とすまい給付金
住宅ローン減税の要件
まずは、住宅ローン減税の要件を見ていきましょう。大きく4つの要件があります。
- 自らが居住すること
- 床面積が50㎡以上であること
- 築年数が一定以下かもしくは耐震基準に適合しているか
- 借入期間と年収要件
住宅ローン減税が適用されるためには、本人がその住宅に住むことが条件となります。また、住宅の引き渡しまたは工事完了時点から半年以内に本人が住み始めなければなりません。また、証拠として住民票で確認とされますので注意しましょう。
次に、床面積が50㎡以上という要件があります。これは、あくまで登記簿謄本で確認できる面積であることに注意しましょう。マンションの場合は、登記簿面積以外に壁芯面積)があり、広告チラシやインターネットの物件情報にはこちらの面積が記載されていることが多いので注意が必要です。
中古住宅の場合は、築年数や耐震性の条件があります。築年数の条件は、木造住宅など耐火建築物以外の場合は20年以内、鉄筋コンクリートなど耐火建築物の場合は25年以内となっています。耐震性の条件は「耐震基準適合証明書」「既存住宅性能評価書」「既存住宅売買瑕疵保険に加入」のいずれかを満たすことです。
最後に、住宅ローンの返済期間が10年以上であることが必要です。また、年収が3000万円以上の場合、住宅ローン減税は利用することができません。
住宅ローン減税の内容
住宅ローン減税とは、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得等をし、2021年12月31日までに自己居住の用に供した場合、住宅ローン等の年末残高の合計額等を基にして計算した金額を、所得税等から控除するというものです。消費税等が10%に増税されるにあたって一部制度が拡充されることが決まっています。
- 控除期間:10年から13年に変更
- 控除限度額:1年目から10年目は、借入金年末残高(上限4000万円)×1%(最大控除額:年間40万円)11年目から13年目は、次のいずれか小さい額となります。①借入金年末残高(上限4000万円)×1%②建物購入価格(上限4000万円)×2%÷3
すまい給付金とは?
すまい給付金は、消費増税による住宅取得者の負担軽減を目的に創設された制度です。住宅ローン減税は、支払いをしている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低い人の効果は小さいです。そのため、住宅ローン減税の効果が十分に及ばない収入層に対して、増税負担の軽減をはかるためのものです。
- 消費税10%が適用される住宅を取得する場合、引き上げによる負担を軽減するために現金給付
- 平成26年4月から令和3年12月まで実施
- すまい給付金を受け取るために、給付申請書を作成し、確認書類を添付し申請
すまい給付金の対象者
すまい給付金の対象者は、次の通りです。
- 住宅を取得し、登記上の所有者となる
- その住宅に自分で居住する。(住民票において要確認)
- 収入が一定以下の人(消費税8%の時は収入額の目安が510万円以下、消費税10%の時は収入額の目安が775万円以下)
- 住宅ローンを利用しない場合、年齢が50歳以上の人
すまい給付金の対象住宅の要件
すまい給付金は、良質な住宅ストックの形成を促す目的のものであるため、住宅の質に関する要件などを満たした住宅が対象となります。
- 消費税引き上げ後の消費税が適用されること
- 床面積が50㎡以上であること
- 第三者機関の検査を受けた住宅であること
- 一定の性能の確保(フラット35Sの基準を満たす住宅)
消費増税後に不動産取得した場合のメリットとは!?
国土交通省は、「消費税10%へ引上げ後の住宅取得にメリットが出る支援策を用意」と4つの支援策を提示しています。以下国交省からの案内です。
- 住宅ローン減税の控除期間が3年延長
- すまい給付金が最大50万円
- 新築最大35万円相当、リフォーム最大30万円相当。次世代住宅ポイント制度
- 贈与税非課税枠は最大3000万円に拡大
消費税10%が適用されるのは、どのタイミングから!?
不動産を購入する場合、多くは「契約」と「引渡し」が分かれています。消費税10%が適用されるかどうかは、この引渡し日がもととなります。
そのため、消費税8%のうちに住宅を購入しようと思っている場合、タイムリミットは、2019年9月30日となります。この日までに引渡しを受ける必要があります。
なお、既に時期は過ぎていますが、新築住宅の場合、完成時期がずれ込むことは多々あります。そこで、請負契約を2019年3月31日までに締結すれば、引渡しが2019年10月以降になっても消費税が8%適用となる経過措置があります。
結局、住宅購入のタイミングはいつがいいの?
さて、結局のところ住宅購入は、消費増税前後でどちらがいいのでしょうか。消費税額を見れば増税前に購入する方が有利ですが、そう単純ではありません。3つの観点から見ていきます。
一つ目です。今までの増税前後の不動産相場の流れからすると、増税前に駆け込み需要があり、増税後にその反動で価格が下落してくることが予想されます。
二つ目です。中古住宅で個人売主の場合はそもそも非課税で消費税が課税されません。そのため、増税の影響をあまり考えずに動けるでしょう。
三つ目です。国が増税後に住宅購入した場合にメリットが出る4つの支援策を提示しています。この4つの支援策がご自身に当てはまるか確認し、増税前と比較しておくことが重要だと思います。
いずれにしても、住宅購入でご自身が住む場合、家族のライフプランにあった物件が見つかった段階で、増税前・増税後問わず購入するのがいいでしょう。自分が住む住宅は、投資用不動産と違って、儲かることが一番ではありませんので、よく家族と話あうべきだと思います。
消費税”等”とは!?
あまり、気にすることではないのですが、よく等という言葉を目にします。消費税についても記載は消費税等となっています。では、消費税等とはどういうことでしょうか。
消費税等とは、消費税と地方消費税を指しています。消費税は、国税として国の収入になります。地方消費税は、県税として県の収入となり、その半分である2分の1は市町村に交付されます。
- 消費税等8%:消費税6.3%、地方消費税1.7%
- 消費税等10%:消費税7.8%、地方消費税2.2%