【測量・境界】筆界と所有権境の違いについて

この記事のまとめ・要約

  1. 筆界は法的な境界であり、変更不可。一方で、所有権境は当事者間の合意で変わることがある。
  2. 土地の取引や相続の際には、正確な測量を行い、境界を明確にすることが重要。
  3. 境界トラブルを防ぐため、専門家のアドバイスを活用しよう。

筆界(ひっかい)とは?

筆界とは、ある土地が登記された時にその土地の範囲を区画するものとして定められた線をいいます。公法上の区分とされています。

特徴

  • 変更不可:筆界は登記上の公的な境界であり、当事者間の合意では変更できない。
  • 公的記録に基づく:登記簿面積・地積測量図に記載されている。
  • 筆界特定制度:境界が不明な場合、法務局の「筆界特定制度」で確定可能。

所有権境とは?

所有権境とは、実際の土地所有者が合意して使用する境界をいいます。

特徴

  • 当事者間の合意で変更可能:隣地所有者同士で話し合い、移動や変更ができる。
  • 登記とは無関係のケースも:筆界とは異なり、登記上の境界とは一致しないことがある。
  • 時効取得の可能性:長年の使用実績によって、所有権境が変わる場合もある。

筆界と所有権境の違いを比較

項目筆界(ひっかい)所有権境
定義法的に確定された境界所有者同士の合意による境界
変更の可否変更不可合意により変更可能
記録登記簿・地積測量図に記載記録なし(実際の利用状況で決定)
トラブル時の対応筆界特定制度・裁判で決定当事者間で交渉

よくあるトラブル事例

  • 登記上の筆界と実際の境界が異なるケース:測量をしたら、登記上の境界と実際の利用境界が異なっていた。法務局で筆界特定を行い、正式な境界を確定。
  • 隣人との境界トラブル:長年、所有権境として認識されていたが、新しい測量で筆界が異なると判明。当事者間で話し合い、筆界に合わせるか所有権境を維持するか協議。
  • 時効取得による境界変更:20年以上、隣地の一部を所有地として使用していたため、時効取得が成立し、所有権境が変更された。

筆界と所有権境を適切に管理するためのポイント

  • 土地を売買する前に境界を確認する
  • 測量士に依頼して筆界と所有権境を明確にする
  • トラブルが発生したら法務局の筆界特定制度を活用する