【知っておこう】豊島区ワンルーム条例 税額50万

豊島区ワンルーム条例

豊島区ワンルーム条例の要約

豊島区では、中高層集合住宅建築物の建築に関して、良好な集合住宅の確保、良好な近隣関係の維持向上及び高齢社会の進展に対応した居住環境の整備を図るために条例を定めています。

(豊島区中高層集合住宅建築物の建築に関する条例。ここではワンルーム条例として話をしていきます。

ワンルーム条例は、どのような住宅が対象となるのでしょうか。ワンルーム条例では、地階を除く階数3以上で、かつ住戸数が15戸以上の共同住宅の建築する場合に対象となるとしています。

ワンルーム条例はいつできたのか?

ワンルーム条例はいつからできたのでしょうか。豊島区の現在のワンルーム条例は2004年6月から施行されています。なお、直近では下記の改正がありました。

改正点

  • 平成26年3月:国の住生活基本計画に基づく最低居住面積水準を踏まえ、住戸の専用面積(第10条)の最低限度を25平方メートルに引き上げ。
  • 平成29年3月:条例施行規則第10条(駐車施設の設置基準)を改正。【改正後:少なくとも1台3.5m×5mの駐車区画】
  • 令和2年9月:条例施行規則第13条(管理人室の設置基準等)を改正しました。【改正後:住戸数が30戸未満の場合2時間程度の駐在管理】

ワンルームマンション税導入の趣旨

豊島区狭小住戸集合住宅税(通称:ワンルームマンション税)は、狭小住戸がある集合住宅の建築を抑制し、得られた税を良好な住宅供給の支援に投入することによって、ゆとりある住環境を実現しようとするのが趣旨です。

豊島区世帯構成は、全世帯のうち単身世帯が約56%という偏った状況になっています。これは、ファミリー世帯向けの良質な住宅が少ない、という豊島区の住宅事情が反映されています。また、狭小住宅に偏った住宅の供給は、地域の構成員を限定させ、将来のまちづくりに支障をきたすことが懸念されます。

ワンルーム税の目的は、一定戸数以上の狭小住戸を有する集合住宅を建築しようとする建築主へ課税することにより、負担が重くなるという状況を作り出すことで、1戸あたりの面積が少しでも広い住宅の供給を誘導しています。

税額はなぜ50万円なのか!?

ワンルーム税は、狭小住戸1戸につき50万円です。なぜ50万円なのでしょうか。条例創設の検討時、標準的なワンルームマンションを建築するにあたり、固定資産税の税率を標準税率 1.4%から制限税率 2.1%に引き上げた場合の 47 年間(鉄筋コンクリートの建築物の減価償却期限)の差額を 1 戸あたり概ね 50 万円と算出できたようです。

固定資産税の制限税率は、平成 16 年に廃止されましたが「豊島区税制度調査検討会議」にて、ワンルームマンション税の税率は据置が適当とされた経緯があります。

豊島区税制度調査検討会議「狭小住戸集合住宅税の概要」より

ワンルーム条例の税収は、年間3億~5億!?

豊島区税制度調査検討会議資料より

豊島区はワンルーム税で、どのぐらいの税収を得ているのでしょうか。上記資料から、2018年4億8350万、2019年4億7200万、2020年5億6650万、2021年4億8600万円、2022年2億2620万となっています。この数字が多いのか、少ないのかは比較検討がないためわかりません。ただ、一つ言えるのは2022年は大分税収が少ない。おそらくワンルームマンション税が制定された2004年から税収の上下はあるように見られます。

豊島区ワンルーム条例 Q&A

ここでは、豊島区ワンルーム条例でよくある質問事項について触れていきます。

課税免除となるのはどういう場合ですか?

一棟の建築物について、その総戸数中に狭小住戸〔一住戸の専用面積が29平方メートル未満(豊島区狭小住戸集合住宅税条例が改正され、平成22年4月1日より30平方メートル未満に改正)の住戸〕の数が8戸以下の集合住宅については、課税免除となります。この課税が免除される狭小住戸数が8戸以下の集合住宅の場合には、納税義務はありませんが、申告の義務も生じません。なお、狭小住戸が9戸以上ある集合住宅については、その9戸以上の戸数のうち全部が課税の対象となります。例えば、総戸数20戸の集合住宅でそのうち狭小住戸が15戸ある建築物は、この15戸分が課税対象となり、税額は750万円となります。

狭小住戸を含む集合住宅を増築したとき、また事務所用途の建物を狭小住戸を含む集合住宅に用途変更したときは、課税対象となりますか?

増築および用途を変更することによって、新たに9戸以上の狭小住戸が生まれた場合には、この新たに生まれた部分についてのみ課税の対象となります。このとき、その増築または用途変更より前から既にあった狭小住戸については、該当とはなりません。あくまで、新たに生じた狭小住戸のみが課税の対象となります。

同じ敷地内に狭小住戸を含む建物を2棟以上建築する場合の取扱は?

同一敷地内であっても、建物1棟ごとの住戸数から別個に判断します。1棟ごとに9戸以上の狭小住戸があるかどうかによって、課税対象となるかがきまります。建物ごとにきまりますので、同一敷地内だからといって合算する必要はありません。ただし、共用廊下等で結ぶなどして構造上1棟の建築物として認められる場合には、このかぎりではありません。

狭小住戸を含む集合住宅の建築を計画していますが、いつ申告して納付するのですか?

建築等の工事に着手した日から2か月以内に「申告」及び「納付」の手続きをお願いします。申告及び納付のどちらの手続きも着手から2か月が期限となります。なお、「工事に着手した日」とは、新築の場合は、「杭打ち」(「杭打ち」によらない建築行為を行う場合は「根切り」)を開始した日をさします。一般的に建物の基礎工事が継続的に開始されたと認められるときをいいます。

狭小住戸集合住宅税は、誰にかかる税ですか?

税の対象となる集合住宅を建築しようとする「建築主」に納税義務が生じます。ここでいう「建築主」とは、工事の請負契約における注文者、請負契約によらないで自ら工事をする者、用途の変更をする者など、基本的に建築基準法上の建築主と同じです。なお、建築工事の途中で建築主が変更となった場合には、工事に着手した当初の建築主が納税義務者となります。ただし、工事の中途で新たに建築計画の変更があった場合には、計画変更をした建築主に納税義務が生じます。

豊島区公式HP「よくある質問・狭小住戸集合住宅税等」より

ワンルーム条例一覧

23区におけるワンルーム条例比較
対象規模最低面積ワンルームの定義ファミリー住宅附置の有無
千代田区階数4以上かつ専用面積30㎡以下の住戸数10以上25㎡以上30㎡未満
中央区住宅数10戸以上25㎡以上40㎡未満
港区37㎡未満の住戸数7以上の共同住宅(50㎡以上の住戸数が総戸数の4分の3以上である共同住宅を除く25㎡以上。ただし、商業地域内は総戸数の1/2未満の戸数を20㎡以上にできる。37㎡未満
新宿区地階を除く階数3以上の共同住宅、寮及び寄宿舎で30㎡未満の住戸を10戸以上25㎡以上30㎡未満
文京区共同住宅、寄宿舎又は
長屋でワンルーム住戸
10戸以上
25㎡以上40㎡未満
台東区住戸数10戸以上の下
宿、共同住宅又は寄宿
25㎡以上40㎡未満
墨田区①住戸(室)数15以上
の共同住宅、寄宿舎又
は長屋
②地階を除く階数が3
以上かつ住戸(室)数10以上
25㎡以上40㎡未満
江東区地階を除く階数が3以上で住戸数15戸以上かつ過半数以上が40㎡未満25㎡以上40㎡未満
品川区階数3以上ワンルーム形式の住戸数15戸以上かつ住戸の総戸数の1/3以上第1種低層住居専用地域
25㎡以上その他20㎡以上
寮、寄宿舎等18㎡以上
30㎡未満
目黒区①敷地面積1,000㎡以上
②延べ面積1,500㎡以上かつ高さ15m以上又は地階を除く階数が5以上
③住戸数が20以上かつ延べ面積1,500㎡以上
④40㎡未満の住戸数10以上かつ階数が3以上
25㎡以上40㎡未満
大田区計画戸数15戸以上25㎡以上40㎡以下
世田谷区①住戸専用面積が40㎡以上の住戸数20以上の共同住宅等
②延べ面積が1,500㎡以上
③住居系・準工業地域内で階数3以上でワンルーム住戸数12以上
④商業系地域内で階数3以上でワンルーム住戸数15以上
25㎡以上40㎡未満
渋谷区地階を除く階数3以上の共同住宅又は寄宿舎等で専用面積33㎡未満の住戸数15以上、かつ総戸数の1/3以上①共同住宅28㎡以上
②寄宿舎等15㎡以上
33㎡未満
中野区階数3以上で住戸数12戸以上25㎡以上40㎡未満
杉並区①階数3以上(居室のない地階を除く)かつ住戸数20戸以上
②階数3以上(居室のない地階を除く)かつワンルーム住戸数6戸以上
25㎡以上住戸数10戸未満は
20㎡以上
40㎡未満
豊島区地階を除く階数が3以上で住戸数15戸以上25㎡以上30㎡未満
北区地階を除く階数3以上かつ住戸数15戸以上の共同住宅25㎡以上40㎡未満
荒川区住戸数15戸以上25㎡以上なし
板橋区階数3以上小規模住戸15戸以上かつ総戸数の1/3以上25㎡以上35㎡未満
練馬区ワンルーム住戸数が20戸以上25㎡以上30㎡未満
足立区階数3以上かつ住戸数15戸以上の集合住宅で戸数の1/3の以上の集合住宅25㎡以上40㎡未満
葛飾区階数3以上、住戸数15戸以上25㎡以上30㎡未満
江戸川区3階以上かつ10戸以上または一団の土地における40戸以上の住宅①15戸未満の部分は平均30㎡以上、これを超える部分は平均70㎡以上
②個人事業主の場合は30戸未満の部分は最低面積25㎡以上、30戸以上の部分は最低面積50㎡以上
30㎡未満

回豊島区税制度調査検討会議「23区における集合住宅条例等の比較(ワンルームマンション関連)一覧を参考

23区の条例・要綱は、改正しているものの大きな変化は少なく、江戸川区が最もワンルーム条例が厳しく、特徴的なのは豊島区のワンルーム税であることは時がたっても変わらないようです。