正直不動産から学ぶ16巻 ~但し書き道路物件:購入前に知っておくべき注意点~

但し書き道路物件:購入前に知っておくべき注意点

正直不動産では、不動産業界の歪みや不動産取引の怖い点を解説していると思います。そんな不動産の注意点・問題点について解説していきます。今回は、正直不動産の16巻で出てくる但し書き道路物件についてです。

マイホームや投資用不動産を探していると、「但し書き道路に接道」といった記載を見かけたことはありませんか?「安く買えるかも」と思っても、法的・再建築・融資面で思わぬ落とし穴があるのが「但し書き物件」です。

この記事では、但し書き道路とは何かどんなリスクがあるのか後悔しない対処法を初心者にもわかりやすく解説します。

但し書き物件とは?

「但し書き物件」とは、建築基準法第43条ただし書きの規定により建築が認められている物件のことです。

通常、建物を建てるには「幅4m以上の道路に2m以上接している必要」があります(建築基準法42条2項など)。しかし、接道条件を満たさない土地でも、以下のような例外で建築が許可されるケースがあります。

建築基準法第43条但し書き
「建築審査会の同意を得て、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合には、建築を許可できる。」

つまり、再建築不可に近いが、特別に建築が認められたグレーな土地とも言えます。

よくある但し書き道路の例

  • 幅員が4m未満の私道
  • 通り抜けできない行き止まり道路
  • 昔からの里道や農道
  • 建築基準法上の道路と認定されていない道

但し書き物件の3つの注意点

  1. 再建築が保証されない:たとえ今ある建物が建っていても、将来建て替えができるとは限りません。再建築時には再度「建築審査会の許可」が必要で、周辺環境の変化(道路の幅、近隣住民との関係)によって許可されない可能性もあります。
  2. 融資・ローンが通りにくい:金融機関によっては、但し書き物件を担保評価が低い物件=リスクが高い物件と判断し、「ローンが通らない」「金利が高くなる」「融資額が少ない」といった不利な条件になることがあります。
  3. 売却時に買い手がつきにくい:再建築リスクや融資問題から、将来的に売却しにくくなる可能性が高いです。特に一般消費者向けの住宅としては、価格を下げても買い手が見つからないことも。

後悔しないための3つの対処法

  1. 「建築審査会の同意」の有無を確認する。役所で過去にどのような審査で許可されたかや、将来の再建築可能性について相談できます。
  2. 道路種別・道路認定状況をチェック:道路が「建築基準法上の道路かどうか」、「私道」であれば通行・掘削承諾があるか、誰が管理しているのかを確認しましょう。
  3. 専門家に相談する:不動産業者:売買の実務や価格感に詳しい、建築士:建替え・増築の可能性を判断できる、弁護士・司法書士:法的トラブル予防に役立ちます。

よくある質問(FAQ)

今は住めていても問題ありませんか?

現在の使用には問題がなくても、建替えや売却の際に大きなハードルとなります。特に古い建物の場合は、再建築を想定して慎重に判断しましょう。

但し書き物件の価格はどれくらい安くなる?

同じエリア・広さでも2~3割安いこともありますが、その分リスクも大きくなります。

まとめ:但し書き物件は“買う前の調査”がすべて!

項目ポイント
メリット 相場より価格が安いことが多い
デメリット再建築不可のリスク、融資が難しい
必要な調査接道・建築許可・私道権利・将来の再建築性
おすすめ対応役所・建築士・不動産会社への事前相談

「安いけど但し書き物件かも…」という場合は、感覚ではなく専門的な調査が絶対条件です。不動産は一生に何度もない大きな買い物。将来のリスクまで見据えて、納得のいく取引をしましょう。