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正直不動産から学ぶ10巻 ~眺望悪化マンションの注意点~
正直不動産では、不動産業界の歪みや不動産取引の怖い点を解説していると思います。そんな不動産の注意点・問題点について解説していきます。今回は、正直不動産の10巻で出てくる眺望悪化マンションについてです。
「このマンション、バルコニーからの眺めが最高!」
そんな理由で購入を決めた不動産でも、数年後に建物が建ち、眺望が台無しに…。このような眺望トラブルは、不動産売買において意外と多く、資産価値にも影響を与える重大な問題です。
本記事では、眺望をめぐる典型的なトラブル事例や、購入前にできるリスク回避方法、眺望に関する法的な考え方まで、網羅的に解説します。
目次:眺望悪化について
- 眺望トラブルが不動産売買で問題になる理由
- 実際にあった眺望トラブル事例
- 眺望に「権利」はある?法律的な位置づけ
- 眺望トラブルを回避するための確認ポイント
- まとめ:眺望は“変わる前提”で判断するのが鉄則
眺望トラブルが不動産売買で問題になる理由
眺望は、物件の魅力を大きく左右する要素です。特に分譲マンションでは、
- 高層階の開けた景色
- 海や山、夜景が見える立地
- 日照・通風の良好さ
などが購入動機になるケースが多くあります。しかし、眺望は将来的に保証されるものではありません。隣地に高層ビルや戸建てが建てられた場合、景観が一変するリスクが常にあります。
実際にあった眺望トラブル事例
- 目の前にタワーマンションが建った:購入時は視界を遮るものがなかったが、数年後に隣地で大規模開発が始まり、夜景も日照も完全に遮られた。
- チラシに「富士山ビュー」と記載:実際に富士山は見えたが、1年後にマンションが建ち視界が遮られた。購入者が「景色も価値の一部」として訴訟を起こしたが、景観の保証義務はないとされ敗訴。
眺望に「権利」はある?法律的な位置づけは!?
日本の法律では、眺望に明確な権利(法律上の保護)は存在しません。ただし、以下のような場合に限り例外的に保護されることもあります。
- 景観利益が特別に認められた判例:「長期間にわたって良好な景観が形成され、地域全体でその維持が合意されている」などの特殊ケースであれば、民事上の主張が認められる場合もあります。
- 一般的には、眺望を理由とする損害賠償請求は通りづらい:不動産の購入時に「眺望が永続的に保証される」と誤信したとしても、説明義務違反とまでは判断されにくいのが現実です。
眺望トラブルを回避するための確認ポイント
- 「将来の開発計画」を調べる:自治体の都市計画図、開発事業届出、用途地域の確認を行いましょう。
- 「隣地の所有者・空き地」をチェック:空き地や低層建物は、将来の建築リスクが高いと考えて調べましょう。これが一番大事です。
- 「重要事項説明書」の内容を精査:眺望に関する記載があるか、不利な情報が記されていないかを確認。
まとめ:眺望は「今の状態が永遠に続く」とは限らない
眺望の良さは物件選びにおいて大きな魅力ですが、“将来にわたって保証されるものではない”という前提で判断することが重要です。