敷地権と非敷地権
敷地権とは、マンションなどの区分所有建物において、建物と一体化した土地に対する権利のことをいいます。敷地利用権ともいいます。非敷地権とは、敷地権として登記がされていない敷地利用権のことをいいます。
不動産は、土地と建物が独立して権利の対象となります。例えば、土地と建物を同一人が所有している場合、土地だけ売却することも可能です。しかし、区分所有のマンションの場合は少し異なります。なぜなら土地は、区分所有者全員で共有の状態になっているためです。土地だけ売却してしまって敷地利用権がない状態は問題です。
区分所有法改正はいつから?
上記のような問題があったため、昭和58年に建物の区分所有等に関する法律が改正されました。建物の専有部分と敷地利用権は原則分離処分することができないことになりました。
建物登記簿の表題部には、「敷地権の目的たる土地の表示」、「敷地権の種類」(所有権、地上権、賃借権の別)、「敷地権の割合」などが記載されます。つまり、建物の権利と土地の権利が一体というわけです。ただし、敷地権の登記は強制ではなく、管理規約でこの一体性の原則を排除することも可能ですから注意しなければなりません。
建物の区分所有等に関する法律 分離処分の禁止 第22条
- 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
- 前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第14条第1項から第3項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
- 前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。
専有部分と敷地の一体化
話を簡素化するため、区分所有建物をマンションという形で話をしていきます。マンションは、建物の専有部分の所有権と敷地の共有持分が一体となって、はじめて一体となります。
昭和58年の法改正により、専有部分と敷地共有持分が一体化される前までは、不動産売買などで敷地共有持ち分を失念してしなうようなこともありました。また、マンションの敷地の登記簿謄本は、マンション全戸の所有者ごとの共有持分と抵当権設定がされるため、膨大な量になります。そこで、法改正を行い、敷地に関する権利は、原則として建物専有部分と分離して処分ができなくなりました。
そのため、現在ではほとんどのケースで建物と敷地が一体化しています。
敷地に関する権利
専有部分と分離処分できない敷地に関する権利を敷地権といいます。これは、建物登記簿の一棟の建物の表示では「敷地権の目的たる土地の表示」、専有部分の表示では「敷地権の表示」として記載されています。「敷地権の目的たる土地の表示」は、土地の符号、所在及び地番、地目、地積、登記の日付が記載されています。「敷地権の表示」は、所有権、賃借権などの記載があります。
敷地権の割合は、各専有部分に対応する共有持分が記載されます。この割合は、管理規約での定めがなければ、建物専有部分の床面積の比率によった内容になります。
「原因及びその日付」の欄には、敷地権となった日付を記載します。古い建物には、新築時の年月日と敷地権となった年月日は異なるものがありますので、注意が必要です。